西田美術館 特別展「日本三霊山展」
2022年11月16日
立山連峰が美しい日には思わず写真を撮りたくなるものですが、
あなたはこれまでどのような山の写真を撮ってきたでしょうか。
同じ山でも撮る場所、撮る時間、撮る人によって、その姿は様々です。
時にはまるで奇跡のような光景に出くわすこともあります。
先日、そんな一瞬の美しさをとらえた写真や絵画を間近で堪能してきました。
先週の土曜日12日から上市町の西田美術館では、「日本三霊山展」が始まりました。
日本三霊山とは、富山の立山、石川の白山、静岡の富士山のことです。
西田美術館は、「自然・祈り・美術」をコンセプトに、
数多くの霊山をモチーフにした作品を収蔵している美術館です。
今回の展覧会では、写真、日本画、版画、ガラスなどの
多彩なジャンルの新作や収蔵作品が展示されています。
展示は山ごとに分けられており、
「立山」は、写真家のイナガキヤストさんの写真がメインです。
私がお邪魔した時にちょうどご本人がいらっしゃったので、
直接、写真の解説をしていただきました。
イナガキさんの写真と言いますと、ダイナミックな富山の景色でお馴染みですが、
ただ美しいだけではなく、どの写真も奇跡の瞬間をカメラにおさめているのだとか。
例えば、霧に覆われた幻想的な街の写真(↑)は、
霧の厚さがベストだったからこそ撮れたそうです。
確かに街灯の柔らかな灯りはこれ以上無いという美しさです。
写真を撮る際に「タイミング」は重要なんですって。
思いがけずイナガキさんご本人からお話を伺えて楽しく鑑賞できまました。
ありがとうございました!
そのほかの作品は、学芸員の城川沙織さんに解説して頂きました。
立山と作品ですと、入ってすぐのところに、
ガラス作家の名田谷隆平さんの「剱岳」というガラス作品(↑上の写真)があります。
こちらは、この夏、実際に剱岳に登った上で作られたそうで、
見る角度によって見え方が変わります。
確かに実際の立山も見る度に見え方が変わりますよね。
「富士山」は、先日まで水墨美術館で展覧会をしていた
山元春挙の弟子で甥っ子の山元櫻月の富士山の日本画(↑の写真)や、
富士山写真家の橋向真さんの写真が並んでいます。
◎山元春挙展の私のブログは コチラ
櫻月は、横山大観から「富士を描いたら日本一」と言われるほどだったそうです。
橋向さんの写真(↑)は、雲にこだわりがあり、
例えば、朝焼けの様子(左から3枚目)は
まるで鳳凰のような色と形の雲が広がっているなど、
現実の世界とは思えないような作品が多く、インパクトがありました。
「白山」は、木村芳文さんの写真(↑)や谷内正遠さんの版画が中心です。
立山や富士山の展示作品は離れたところから山を撮っている写真が多いのに対し、
木村さんの白山の写真は実際に山に登って山を撮っているのが特徴です。
谷内さんの版画(↑)は、どこかで見たことがあるなあと思ったら、
北陸銀行の現金を入れる封筒でした。
他にも様々な日本三霊山の作品が展示されていますので、
ぜひ会場でご覧になってみてください。
ちなみに、三霊山のいずれも夕方より朝の太陽をおさめた作品が多いので、
ご来光を拝んでいる気分にもなりました。
学芸員の城川さんから「作品を見た後は実物の剱岳も見てください」と言われ、
2階の休憩室から山の様子を眺めたのですが、
この日は山がくっきり見えていまして、最後にご褒美を頂いたような気分でした。
美術館までの道中も立山連峰を見ながらのドライブで、最高の秋の一日となりました。
西田美術館の特別展「日本三霊山展」は、2023年1月29日(日)までの開催です。
休館日は月曜・火曜です。
また、常設展もかなり見応えがありますので、ぜひあわせてご覧ください。
※ちなみに、特別展のみ写真撮影OKです。
◎西田美術館の公式サイトは コチラ