『リバー』
2022年11月2日
明日11月3日は文化の日ですが、
毎年、文化の日を中心にした2週間は「読書週間」です。
今日の「ゆきれぽ(ヨリミチトソラ内18時30分頃〜)」は、
読書の秋を堪能できる長編小説をご紹介します。
『リバー/奥田英朗(集英社)』
私の大好きな作家、奥田英朗さんの新作というだけでなく、
作品の舞台のひとつが群馬ということもあり、
書店で見つけるやいなや購入。
すぐにでも読みたかったのですが、
なかなかまとまった時間が取れず
買って一ヶ月後にようやく読めました。
と言うのも私、本は一気に読みたいのです。
でもこの本、約650ページもあるんですよ。
見た目はまるで辞書です。(笑)
でも、昨日ようやく読めました。
途中ジムに行った以外は朝から晩まで読み続けるという、
大変幸せな一日でした。
とても面白くて、650ページもあるのに、
残りがわずかになっていくにつれ、寂しさを感じたほどです。
『リバー』は、北関東で起きた連続殺人事件を描いた犯罪小説です。
物語は、群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で
相次いで若い女性の死体が発見されたところから始まります。
その手口が、十年前に同じ場所で起きた
未解決の連続殺人事件とよく似ていたのです。
警察は、また同じ犯人によるものなのか、それとも模倣犯なのか、捜査を始めます。
『リバー』は、様々な人が登場する群像劇で、
主に6人の視点で物語が進んでいきます。
群馬県警・栃木県警それぞれの若手の刑事、
十年前の事件を担当していた元刑事、
若手の新聞記者、
十年前の事件の被害者の父親、
スナックのママの6人です。
事件に関わる様々な立場の人を描くことで、
物語がよりリアルなものとして浮かび上がります。
私が奥田さんの小説が好きな理由は人物の描き方です。
みんなどこかに本当にいそうな人たちなのです。
また、どんな人物も公平に描いているのがいいのです。
誰か一人をヒーローにしたり、悪者にしたりはしません。
だから実際はフィクションなのだけど、感覚はリアルです。
犯人を捜す刑事たちの緊迫感も、
若手記者の緊張感も、
被害者の父親の執念も、
それぞれ別物なのだけど、どれもわからなくないのです。
果たしてこの事件の結末はどうなるのだろう?と
もはや登場人物の一人、当事者の気持ちで読み進めているというか、
事件を追っていました。
大変豊かな読書時間でした。
私、個人としては私の地元の太田市が出てくるのも嬉しかったです。
だからより作品の世界に入り込めたのかも。
この秋、長編小説に挑みたい!という方はぜひ♪