『ロスト・スピーシーズ』
2022年9月7日
「アマゾン」と聞くと、どんな印象ですか?
今やインターネット通販大手の「アマゾン」の印象が強いかもしれません。
ネットで検索をしてもまずは、こちらのアマゾンが出てきます。
ちなみに、FMとやまの50代の男性ディレクターたちによると、
仮面ライダーアマゾンを思い出すそうです。(笑)
ですが、今日は「南米アマゾン」のお話です。
南米アマゾンに行ったことのある方はいますか?
きっと知ってはいるものの一度も訪れたことは無い、
というか、この先も訪れることは無いという方が多いのでは。
でも、小説の中だったらアマゾンに行くことができます!
まさに私は今、アマゾン帰りの気分です。
いやあ、ほんとアマゾンは大変でした。(笑)
今日ご紹介する本は、南米アマゾンが舞台の小説です。
『ロスト・スピーシーズ/(下村敦史(株式会社KADOKAWA)』
下村さんと言いますと、以前ラジオで『サハラの薔薇』という
砂漠が舞台の小説をご紹介しました。
田島の2018年の本ランキング2位の作品です。
乗っていた飛行機が砂漠に墜落し、
生き残った乗客たちでオアシスへ向かうものの
オアシスはどこにもなく、食べものや飲み物は残りわずかに。
果たして彼らは生きて帰ることはできるのか?
というハラハラドキドキが止まらない一冊でした。
また、緊張感に加えて、灼熱の砂漠が舞台ということもあり、
とにかく喉が渇いた一冊でした。(笑)
◎詳しい本紹介は コチラ
この『サハラの砂漠』が大変面白かったので、
新作の『ロスト・スピーシーズ』もワクワクしながら本のページをめくっていきました。
今回の舞台は砂漠ではなくアマゾンです。
砂漠に比べれば自然も水もあるからマシでは?
と思ってしまいそうですが、いやいやそんなことはありません。
アマゾンは樹木は青空を覆い隠すほどに天高くそびえ、
木漏れ日すら降り注がない「緑の地獄」なのです。
アナコンダやジャガー、ワニなどの危険な動物といつ遭遇するかわからないですし、
怪我や病気の時でもすぐに助けを呼ぶこともできません。
『ロスト・スピーシーズ』は、そんな南米アマゾンを探索するチームの物語です。
大手製薬会社に所属するクリフォードは、
がんの特効薬になる幻の植物「奇跡の百合(ミラクルリリー)」を見つけるため、
南米アマゾン奥地を探索するチームを結成します。
メンバーは、クリフォードの他、
植物研究者、ボディガート、植物ハンター、環境問題に取り組む大学生の5人です。
物語は、基本的には植物研究者の三浦という男性の目線で進んでいきます。
この5人は、アマゾンに入るその日に初めて顔を合わせるのですが、
チームワークは最悪で、全員が何を考えているか、まったくわかりません。
とにかくクセがありまくりです。
三浦もまともそうに見えて何か隠し事がありそうな雰囲気ですし。
アマゾンの中を探索するだけでも大変なのに、
他のメンバーを信じることができないという過酷な冒険が始まるのですが、
さらに正体不明の2人組の男たちが彼らを追ってきます。
何この状況!
ちなみに、本のタイトルの『ロスト・スピーシーズ』は「失われる種」のことです。
アマゾンでは毎日のように生物や植物が絶滅しているそうなのです。
幻の植物と言われる「奇跡の百合」も早くしないと
見つける前に絶滅してしまうかもしれないのです。
果たして彼らは「奇跡の百合」を無事見つけることができるのか、という物語です。
もうずっとドキドキしっぱなしでした。
というのも、読者じゃなく私もメンバーの一人の気分になってしまいまして。
密林の中を歩きながらも、いきなり動物が襲ってきたらどうしようとか、
本当にこの人たちを信じてついていっていいのかとか、
私も探索チームのメンバーの一人として密林を探索している気分でした。
目に見えるものだけでなく、音や温度、匂い、水や泥の感覚までが
現実のものとして感じられるような描写なので、
現実を忘れて、まさにアマゾンを冒険している感覚でした。
そして、物語が進むにつれて登場人物たちの素性が明らかになり、
様々な過去や思惑が絡み合いながらラストへと向かっていくのですが、
詳しくはぜひ本を読んでお楽しみください。
なお、私が紹介した内容は、アマゾンの探索で言うなら、まだほんの入り口です。
本当はまだまだお話したいことはあるのですが、
何を言ってもネタバレになってしまいそうなのです。
ああ、もどかしい!
最近、毎日退屈という方は、『ロスト・スピーシーズ』のページをめくって
南米アマゾンを冒険してみては。