『残された人が編む物語』
2022年7月6日
先日、久しぶりに大学時代の友人に会いました。
金沢での仕事のあと、富山にも立ち寄ってくれまして、
ほんのひとときでしたが、とても楽しい時間でした。
大学を卒業してからだいぶ経ちましたが、
友人は学生時代と同じく今も熱く前向きで、
変わらないなと思ったのですが、
友人からも「ゆきは今も姉御のままだ!」と言われ、
何年経ってもお互いベースの部分は変わっていないことを
笑い合いました。
その一方で「ゆきがフルマラソンに出るようになるとは思わなかった」
とも言われました。
確かに何年経っても変わらない部分もあれば、
年齢や環境と共に変わることもありますよね。
あなた自身は周りの人からどんな印象を持たれていると思いますか。
学生時代の友人、職場、家族、趣味の仲間と
関わる人によっても印象は変わるかもしれません。
今日ご紹介する本は『残された人が編む物語/桂望実(祥伝社)』
桂さんは、映画化もされた『県庁の星』がベストセラーになりました。
今回は、行方が分からなくなってしまった人を捜す人たちの物語です。
5つのお話が収録された連作短編集で、
それぞれ、弟、友人、夫などを捜しています。
そして彼らのサポートをしているのが、
「行方不明者捜索協会」の女性スタッフの西山さんです。
彼女は、行方不明者の関係者に話を聞きに行く際には同行したり、
様々な相談も受けたりしています。
最初のお話は、ずっと会っていなかった弟を捜す姉の物語です。
母が亡くなって遺産相続の手続きをすることになり、
久しぶりに弟に連絡を取ろうとしたところ、どこにいるのか全くわからず、
行方不明者捜索協会を頼ることにしたのでした。
そして、スタッフの西山さんと共に、弟のことを知る人たちに会いに行きます。
様々な関係者に会って話を聞くことで
弟がどんな人生を送っていたのかが明らかになっていきます。
西山さんは消えた人の人生を「物語」と呼びます。
この「物語」が残された人には必要だと。
まさに本のタイトルの『残された人が編む物語』です。
その「物語」には、いい話もあれば、辛い話もあります。
でも、失踪者たちの人生を知ることで、
残された人たちにも変化が訪れます。
大切な人が突然消えてしまうお話なので
暗く辛いお話なのかなと思ってしまいそうですが、
涙を流しながらも読後感は温かく穏やかでした。
また、読んだ後は私自身の人生も振り返りました。
誰かが私のことを話す時、悪口だけだったら悲しいなと思って、
色々反省しました。(苦笑)
そういう意味では、様々な気付きのある物語でもありました。
あなたも夏の夜、毎晩一話ずつ読み進めてみては。
この本を読むことで、ずっと忘れていた
大切な人のことやエピソードが突然思い出され、
あなた自身の人生に、何かしらの変化をもたらすことがあるかも!?