富山が舞台!『まっとうな人生』
2022年6月1日
今日の13時45分頃からのgrace内コーナー「ユキコレ」は、
富山が舞台の小説『まっとうな人生』をお書きになった
作家の絲山秋子さんにご出演頂きます。
※インタビューはすでに収録済みです。
絲山さんは富山がお好きで、これまで何度も富山にお越しになり、
graceも聞いてくださっているんです。嬉しい〜。
また、現在は私の地元の群馬にお住まいというご縁もあり、
お会いするたび、富山&群馬トークで盛り上がっています。
今回もとても楽しい時間を過ごせました。
収録後もディープな富山&群馬トークをしていたところ、
一緒にいらっしゃった出版社の方から
「二人の会話は卓球のラリーみたい。群馬スタイルなの?」
突っ込まれてしまいました。(笑)
そういえば、二人ともドット&ベージュのおそろいコーデでした。(笑)
絲山さん、楽しい時間をありがとうございました!
絲山さんの熱いトークは、今日のgrace内コーナー「ユキコレ」でお届けします。
そして、その前に予習がてら、このブログをお読みいただけたらと思います。
↓
5月19日(木)に発売された『まっとうな人生』は、
2005年に発売された『逃亡くそたわけ』の続編です。
『逃亡くそたわけ』は、
博多の精神病院に入院している女性の「花ちゃん」が
名古屋出身の男性「なごやん」を誘い出し、
彼のぼろぼろの車で福岡から九州を縦断していくという物語で、
直木賞候補になったほか、映画化もされました。
新作の『まっとうな人生』は、それから十数年後の二人が描かれます。
なんと「花ちゃん」も「なごやん」も
それぞれ富山の人と結婚して富山に住んでいます。
そして、「ひみ番屋街」で再会したのを機に再び交流が始まります。
この物語には、富山の地名やお店が出てくるので親近感がわきます。
私も「花ちゃん」とすれ違っていたかも?とか、
たまたま車の中で私のラジオを聞いたことがあるかも?と想像しながら読み始め、
途中からは登場人物の皆さんが私のよく知る人たちに思えてきたほどです。
そして、読み終えた今は、すっかり友達の気分です。(笑)
私がこの物語で好きなのは、「花ちゃん」も「なごやん」も県外出身の
富山弁で言うところの「たびのひと」であることです。
「たびのひと」目線で、富山のいいところはもちろん、
富山の不思議なところも、嫌だなと感じるところも
素直な言葉で描かれているのがいいなと。
私も群馬から来た「たびのひと」なので、花ちゃんには共感しまくりでした。(笑)
あとは、へえ、知らなかった!という富山のお話も面白かったです。
例えば、ヒスイ海岸は、潮の流れが強くて海藻が育たないから匂いのしない浜だそうで、
花ちゃんは「笑わない、真顔な感じがする海岸」と表現しています。
ヒスイ海岸には何度も訪れているけれど、ヒスイを拾うのに夢中で気付かなかった!
あとは、上越から高速で戻ってくると26本トンネルがありますが、
花ちゃんの義理のお父さんは、
「親不知」などの怖い地名の後に、富山に帰ってくると、
まず最初のインターが「朝日」で明るいと思い、
次が「入善」で善が入ってくると思い、幸せになると言います。
この感覚無かったー!
この先、県外から富山に帰ってくる時には、
毎回、幸せな気持ちになれそうです。(笑)
また、この『まっとうな人生』は、
2019年4月から2021年10月までのコロナ禍が描かれているのもポイントです。
コロナ禍ではコロナに対する考え方も人それぞれで、
その人が何を考えているのか、その人の本性が垣間見えませんでしたか。
この作品の中にもコロナ禍での様々な問題が出てきます。
この物語は、富山が舞台なだけに、
よりリアルなノンフィクションのように感じられました。
また、花ちゃんの正直な思いに触れているうちに、
私自身も不安とか、苛立ちとか、我慢していたことを
花ちゃんと共に吐き出せた気がして、
読んだ後は気持ちが少し楽になっていました。
とても濃い時間が過ごせた一冊でした。ほんと面白かった。
富山の皆さんにはぜひ読んでいただきたい!
今なら富山の書店には絲山さんのサイン本がありますよー。
そして、できれば前作『逃亡くそたわけ』とセットでお読みください。より楽しめます。
なお、『逃亡くそたわけ』は、電子書籍でお読みいただけます。