『13歳からの地政学』
2022年5月18日
連日、ロシアのウクライナ侵攻関連のニュースが報じられています。
この軍事侵攻に関して、あなたははどれくらい理解できているでしょうか。
・そもそもの発端は。
・なぜロシアはウクライナを侵攻したのか。
・この状況はいつ終わるのか。
・どうしたら終わらせることができるのか。
子どもに聞かれたものの、うまく答えられなかったという親御さんもいるのでは。
この軍事侵攻は2つの国の問題だけでなく、
様々なモノの値段が上がるなど、
日本も含め世界的に様々な問題が起きています。
そんな中、今注目されている学問があります。
「地政学」です。
地政学とは、地形的条件がその国の政治や外交政策など
に及ぼす影響を研究する学問のことで、
最近は、どの書店でも「地政学」関連の本を目にするようになりました。
私は気になりつつも難しそうだなと思っていたのですが、
ある本をみつけて、これなら読めそうだと買ってみました。
『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海/田中孝幸(東洋経済新報社)』
著者の田中さんは国際政治記者で、新聞記者として20年以上のキャリアを積み、
世界40各国以上で政治経済から文化に至るまでを取材されたそうです。
この本は「13歳からの」のあるように
13歳が読んでもわかる内容になっています。
ですが、大人の皆さんにもオススメです。
『ハゲタカ』の著者、真山仁さんも
「大人にこそ読ませたい 未来を生き抜く必読書
戦争、平和、日本の行く末を知る羅針盤がここにある!」
と絶賛しています。
この本は、物語形式で進んでいきますので、
小説を読む感覚で「地政学」を学ぶことができます。
主な登場人物は3人。
・県内の進学校に通う高校一年生の大樹(だいき)。
勉強は得意だけど、特にやりたいことはありません。
・妹の中学一年生の杏(あん)。
勉強よりもおしゃれや流行のアイドルのほうが好きです。
・アンティークショップの年齢不詳の男「カイゾク」。
左目に黒い革の眼帯を着けたその風貌から
近所の子どもたちから「カイゾク」と呼ばれています。
そのカイゾクの店のウィンドウにあった
アンティークの「地球儀」を兄妹で見ていたところ、
カイゾクに声をかけられ、こう提案されます。
「7日間ここに来て、わしの話を聞き、
最終日にわしの出す問題に答えられたら、
この地球儀をさしあげよう」
そこで、カイゾクによる7日間のレッスンが始まります。
初日は「海」に関するお話でした。
地球儀を見ると、青くて丸いことに気付きます。
青は海です。海は地球の7割を占めています。
世界中の貿易は9割以上が海を通っているそうです。
特に島国の日本は99%が船による貿易なんだとか。
また、世界の船の行き来を仕切っているのがアメリカで、
世界の貿易で使われる通貨の8割がドルなんですって。
つまりアメリカが世界で最も強いということです。
でも、日本も世界での存在感で言うと、大国の部類に入るそうですよ。
詳しくは、本を読んでみてね!
旬なところでは、NATOの説明もあります。
昨日、スウェーデンとフィンランドの北欧2ヵ国が
NATOへの加盟申請文書に署名し、
今日の午後にも申請書を提出する見通しですが、
皆さんはNATOのことは理解できていますか?
他にも
・経済成長って何?
・核ミサイルはどこにある?
・なぜ領土を求め続けるのか
・なぜ戦争を起こそうとするのか
・なぜ過去のことが蒸し返されるのか
と言った気になる話題が満載です。
この本では、こういった様々な世界の問題に対して、
カイゾクさんが、中学生と高校生の兄妹の疑問に答える形で
世界のしくみを説明しているので、とにかくわかりやすいのです。
カイゾクさんの話を興味深く聞いているうちに世界を知ることができます。
私はこの本を読んだ後に新聞を読んだところ、
いつもよりも文章が易しく感じられました。
この兄妹から気付かされることも多かったです。
妹の杏がカイゾクさんとの話の中で
「私の常識が世界の常識じゃない」と気付くのですが、
これ、世界どころか身近な人とのやり取りの中でも同じことが言えますよね。
自分の常識が他の人と同じかと言ったらそんなことは無いのですよね。
「ふつうは〇〇でしょ!」と口にしがちな方は、
ちょっと冷静に自分の思う「ふつう」について考えてみては。
もしかしたら知らぬ間に独りよがりになっていた…
なんてこともあるかもしれませんよ。
この本を読んで私は世界が近く感じられるようになりましたし、
もっともっと色々なことを知りたいと思いました。
アインシュタインは学びについてこんなことを言っています。
「学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。
自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる」
そして、この本によると
「知識を増やすということは、だまされないように武装すること」
だそうです。
『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』は、
物語を読んでいるうちに世界のしくみを楽しく学べます。
一家に一冊いかがでしょう。