『さくらのまち』
2024年11月13日
あなたは「さくら」と聞くと、何を思い浮かべますか?
春に咲く満開のソメイヨシノ?
今の季節に楽しめる可憐なジュウガツザクラ?
それとも別のさくらでしょうか。
今日ご紹介する本はこちら。
『さくらのまち』
三秋縋著(みあき・すがる)
実業之日本社
三秋さんは、若い世代を中心に読者からの熱狂的な支持を誇る作家です。
最新作の『さくらのまち』は、こんな未来もあるかもしれないと思える世界のお話です。
物語の主人公は、ある理由から誰のことも信じることができない男性です。
どれくらい信じられないのかと言うと、
自分に好意的な人のことは疑い、
良好な関係を期待できない人に安心してしまうくらいです。
でもこの感覚、ちょっとわかるかも。
好意的すぎたり、自分にとって条件が良すぎたりすると、
もしや何か裏がある?だまされてる?と私も疑ってしまいます。
まあ、簡単に人をだます人もいる今の時代には、
それくらいでいいのかもしれませんが。
とは言え、主人公の場合は、警戒し過ぎです。
さて、ある日、彼のもとに学生時代の友人が亡くなったと連絡がきます。
その友人は、色々な意味で今も忘れられずにいる女性でした。
そもそも彼が人を信用できなくなったのは、彼女が原因でした。
詳しくは本を読んでいただきたいのですが、
もし私も同じことをされたら、主人公と同じようになってしまうかもな。
彼は彼女の死について確かめるために、故郷に戻ることにしたのですが、
なんとそこで彼女と瓜二つの女性に出会います。
かつて彼と彼女の間にいったい何があったのか。
そして瓜二つの女性とは。
全て読み終えた時、もう一度本のタイトルと表紙をご覧ください。
本を読む前、読んでいる途中、そして読み終えた後、
きっと印象が変わっていくのを感じると思います。
『さくらのまち』は、物語の設定はフィクションですが、
感覚的なものはとてもリアルで、
主人公に自分を重ねて、まるで自分自身の心も試されているようでした。
具体的な感想を書くことは、ネタバレになってしまうので、我慢します。
本当は言いたいのだけど。
でも、きっと読んだ方たちは同じことを思うはずだから、まあいいか。
とにかく色々な意味で心を動かされ続けた物語でした。面白かったです!
ぜひあなたも自分ならどう思うかを考えながら読んでみてください。