『シャーロック・ホームズの凱旋』
2024年2月21日
今日は、名探偵シャーロック・ホームズが登場する小説をご紹介します。
と言っても、アーサー・コナン・ドイルの小説ではありません。
今日ご紹介するのはこちら。
『シャーロック・ホームズの凱旋』
森見登美彦
中央公論新社
森見さんの作品は、ラジオでもこれまで何冊も紹介しています。
(このブログ内で森見さんの名前で検索していただくと、
これまで私が紹介した本が出てきます)
どの作品もテーマは違えど、全く予想もつかない不思議な世界、
それこそ森見ワールドを冒険している感覚で楽しめるところが好きです。
本のページを開く瞬間は、森見ワールドへの扉を開く気分で、毎回ワクワクします。
しかも、いい意味でのくだらなさが楽しいんです。(ほめてます!)
今回も他には無い森見ワールドを堪能できました。
さて、新作はシャーロック・ホームズの物語です。
でも彼がいるのは、おなじみのロンドンではなく、
架空の都市、ヴィクトリア朝京都です。
森見さんと言うと、『夜は短し歩けよ乙女』をはじめ、
京都が舞台の作品が多いのですが、今回も京都らしき場所が舞台です。
らしきと書きましたが、京都の地名や名所は普通に出てきます。
ホームズが住んでいるのは、ロンドンのベーカー街ではなく、
ヴィクトリア朝京都の寺町通ですし。
でも、紅茶を飲んでスコーンを食べているのですが。(笑)
物語は、助手兼記録係のワトソンの視点で綴られていきます。
ホームズは京都でどんな活躍を見せるのかしら?と思いきや、
なんとスランプに陥って部屋に立てこもっています。それももう一年も。
依頼が来ても、今は「自分自身」という難事件に取り組んでいるから無理!
と全く事件に取り組もうとしません。
ホームズは、ある事件に失敗したことで、スランプに陥ってしまったのでした。
しかもスランプなのはホームズだけではなく、
スランプに陥った男たちがなぜか彼のもとに集まってきて、
お互い傷をなめ合っています。
そんなある日、ホームズは、世間から離れて竹林の片隅で静かに暮らす!
と出て行ってしまいます。
ワトソンはホームズを迎えに行くものの、
「もう戻らない!」と言われてしまい…。
すでに、この設定だけでも楽しいのですが、
この先にお馴染みの森見ワールドが待っていますので、
続きは、本を読んで体感していただけたらと思います。
ホームズシリーズがお好きな方は、
ホームズやワトソン以外にも
ジェイムズ・モリアーティや、アイリーン・アドラーなど
おなじみのメンバーが出てきますので、
きっと、おっ!こんなキャラになっているのか、
と楽しんでいただけると思いますし、
全く知らない方でもわかるように森見さんは書かれたそうですので、
ホームズ知識が無くてももちろん楽しめます。
私も全然詳しくないですが、楽しめました!
でも、アーサー・コナン・ドイルのホームズシリーズも読んでみたくなりました。
読んだあとに、再びこのヴィクトリア朝京都に戻ったら、
一度目とは違う面白さが味わえそうだなと思いまして。
あと、久しぶりに京都に行きたくなりました。
京都の喫茶店でこの本を妄想力全開で楽しんでみたい。