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『祖母姫、ロンドンへ行く!』

2024年1月17日

あなたには、一度でいいからしてみたい旅はありますか。

例えば、飛行機はファーストクラスで、宿泊は五つ星ホテル。
そして、旅先の移動はずっとタクシーなんて、いかがでしょう?

今日ご紹介する本は、そんな豪華旅を実際に楽しんだ
お祖母ちゃんと、その孫娘のエッセイです。

『祖母姫、ロンドンへ行く!』
椹野道流(ふしの・みちる)
小学館

タイトルの「祖母姫(そぼひめ)」というのが、
そのお祖母ちゃんのことです。

そもそもなんで孫と祖母の二人旅なのか。
発端は、お正月に親戚が集まった時に
著者である孫娘がイギリスに留学した話をしたことでした。
祖母が「一度でいいからイギリスに行きたい」と言い出したのです。
それも「お姫様のような旅がしてみたい」と。

そこで、急きょ「ロンドンお姫様旅行計画」を立て、
旅の資金は親戚たちが出し、孫が祖母を連れて行くことに決まります。

祖母の希望は、
「飛行機はファーストクラスで、五つ星ホテルに泊まり、
一流のデパートで買い物をして、最高のディナーを楽しみ、
お友達に自慢できるような素敵なものをたくさん見たい」というもの。

果たして孫娘は、祖母をお姫様のようにもてなすことができるのか。
続きはぜひ本を読んでお確かめください。

***

本を読みながら、二人と一緒にロンドンを旅している気分でした。

ただ、お姫様であるお祖母ちゃん側ではなく、
もてなす側の孫娘の気持ちで読んだため、
常に気を遣い続けることになりましたが。(笑)

というのも、このお祖母ちゃん、なかなかにワガママなんですよ。
そのため孫娘は旅のあいだ振り回され続けます。

それでも、とても楽しい旅でしたし、
お祖母ちゃんの超ポジティブ思考には何度も笑わせられました。

例えば、デパートでコートを試着したときには、
店員さんたちが自分のことを
「日本から、何て綺麗で上品でオシャレな
お婆さんが来たんだろうって言ってたんじゃない?」
と真面目に孫娘に聞いてくるほどです。

お祖母ちゃんの自己評価の高さにはびっくり!

でも、いつも堂々としているお祖母ちゃんは、かっこ良くて素敵です。

孫娘も最初は「偉そうでわがままで厄介な婆さん」だと思っていますが、
徐々に認識が変わっていきます。

また、このお姫様旅は、孫にとっては
ファーストクラスのCAや五つ星ホテルのバトラーから
「ホスピタリティ」を学ぶ旅でもありました。

一流の方たちの「もてなし方」が素晴らしいのです。さりげなくてスマートで。
人に注意をする時でさえ、相手を嫌な気持ちにさせません。

私自身も大変勉強になりました。
一流に触れることは、自分の成長にも繋がるものなのですね。

あなたも孫と祖母の二人旅に便乗して、
一流のサービスを味わってみませんか。

ちなみに、このエッセイは最近のことではなく、
「ずいぶん昔の話」だそうです。
具体的な年代は描かれていませんが、
携帯が普及する前の時代の旅を振り返る形で綴られています。

その、ちょっと懐かしい空気感のせいか、
本を読みながら私自身が今は亡き祖母と旅をしている気分でした。
二人旅をしたことなんて無いのに、不思議なものです。
そういう意味でもいい時間を過ごせました。

yukikotajima 11:24 am