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生誕150年記念・川合玉堂展

2023年7月26日

この夏は、日本の原風景を見に行ってみませんか。

豊かな自然の前に立つだけで、きっと心が穏やかになっていくはずです。
朝の澄んだ空気に、昼のやわらかな日の光、細い月がほんのり見える日没後。
それに、真夏に見る雪や紅白の梅もいいものですよ。

ん?雪に梅って、田島はいったいどこに行ったの?かって思いますよね。(笑)

私が出かけたのは、富山県水墨美術館です。

現在、こちらでは生誕150年記念・川合玉堂展を開催中です。

川合玉堂(かわい・ぎょくどう)は近代日本画壇の巨匠で、今年生誕150年です。
玉堂は、日本の原風景と言えるような風景画の名作を数多く残しています。
だから、作品を見ているだけで自然の中にいるような、
また、どこか懐かしい気持ちになるのです。

玉堂は愛知で生まれ、少年期を岐阜で過ごした後は、
京都、東京で円山四条派や狩野派などの技法を習得します。
その後は、それらを融合し、自らの画風を生み出していきます。

今回の企画展では、20代前半から晩年に至るまで時代順に作品が並んでいますので、
作品がどのように変わっていったのかがよくわかります。

例えば、岐阜で育った玉堂は、鵜飼の絵を何度も描いたそうなのですが、
この企画展でも4点の鵜飼の絵が展示されており、作風の違いを見ることができます。

また、会場には、スケッチも展示されています。
富山でのスケッチや、10代の頃のスケッチもあるですが、
若いころからまるで本物のような質感で、
玉堂がいかによく観察しているのかがわかります。

実際、よく写生もしていたそうで、朝、散歩に出かけては写生をしていたのだとか。
朝の景色を描いた『朝もや』という作品は、朝のひんやりとした澄んだ空気を感じます。

また、玉堂の作品には、人間や動物が小さく描かれているのもポイントです。
人がそこにいることで、生活感が出てきますし、
玉堂が人や動物に対して、いかに優しいまなざしをもっていたかが伝わってきて、
作品を見ている私の心までも穏やかになっていきます。
中でも玉堂の描いた馬の表情がいいんです、優しくて。ずっと見ていられます。

ところで、会場には玉堂を撮影した写真も展示されているのですが、
どの写真も背筋がぴーんと伸びているのが印象に残りました。
そして、玉堂の作品から感じられるスマートさは、
この姿勢の良さとも関係しているのかもしれないな、とふと思いました。
(あくまでも私の印象ですが)

今回の企画展では、前後期合わせて46点の作品が展示され、
後期は13点も入れ替わるそうです。
パンフレットに使われている「紅白梅」は、前期のみの展示ですので、お見逃しなく。

公式図録には、ひ孫さんによる「玉堂こぼれ話」も載っていますので、
ぜひ作品解説と合わせて読んでみてください。

また、今回私は学芸員の丸山さんによる「ギャラリートーク」に参加したのですが、
丸山さんのおかげで玉堂の人となりもわかり、楽しく鑑賞することができました。

ギャラリートークは、8月5日(土)19日(土)にもありますので、
ぜひ参加してみてください♪

◎生誕150年記念・川合玉堂展の詳細は コチラ

そして、作品を見た後は、のんびり庭園を散策してみては。
7月14日から、特別な時にしか見られなかった
茶室に付随するお庭を見ることができるようになったそうですよ。

◎詳しくは コチラ

yukikotajima 11:07 am