『世界でいちばん透きとおった物語』
2023年7月12日
本を読む時、あなたは紙の本で読みますか。
それとも電子書籍でしょうか。
私はほぼ紙です。電子書籍も時々読みますが、好きなのは紙の本です。
紙の質感を味わいながら文字を追っていきたい派です。
また、本の装丁を見るのも好きで、ジャケ買いをすることもあります。
さらに、カバーを外して本そのものの表紙を見るのも好きです。
表紙のデザインや質感を楽しむのはもちろん、
カバーの裏側に掌編があったり、
表紙そのものが本の内容に関連したものだったりすることもあるので、
つい外したくなるのです。
どうせなら隅々まで楽しみたいですからね。
そんな紙の本ならではのこだわりに、私もこれまで何度も出合ってきました。
ですから、「紙の本でしか実現できない」というこの本の仕掛けにも
きっと気付けるはず!と思って挑んだのですが…
気付けませんでしたーーー。
その本とはこちら。
『世界でいちばん透きとおった物語』
杉井光(すぎい・ひかる)
新潮文庫(文庫書下ろしです!)
「ネタバレ厳禁!」「電子書籍化は不可能」と話題のミステリ—小説です。
5月に発売されたのですが、すでに累計発行部数は18万部なんだとか。すごい!
ちなみに、私が先ほど挙げた紙の本の魅力は、
今作のネタバレにはなっていませんので、ご安心ください。
この本をひとことで表すなら、
タイトル通り「世界でいちばん透きとおった物語」です。
読んだ方は「そうそう」と納得していただけると思いますが、
読んでいない方からすれば、「は?」という感じですよね。すみません。
このままだと、どんな本か全くわからいので、軽くあらすじをご紹介しますね。
主人公は、大御所ミステリ作家の宮内(みやうち)を父にもつ「僕」です。
とは言え、「僕」は不倫の末に産まれた子ゆえ、これまで宮内に会ったことはなく、
ある日、宮内が亡くなったことをネットニュースで知っても、
とくになんの感情も湧きませんでした。
ところが、宮内の訃報から1ヶ月後、「僕」は亡き父と関わることになってしまいます。
宮内の息子(つまり僕の兄)からいきなり連絡がきて、こう聞かれます。
「宮内が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を
死ぬ間際に書いていたらしいのだけど、何か知らないか」と。
どうやら作品の原稿がどこにもないようなのです。
そもそも父親に会ったことすらない僕には、心当たりなど全く無かったのですが、
ある理由から僕は父親の遺稿を探すことにします。
いったい小説はどこにあるのか。そして、それはどんな小説なのか。
読者である私も、「僕」と一緒に遺稿を探している気分でページをめくっていきました。
個性あふれる登場人物たちが次々に登場するのも楽しく、
「ネタバレ厳禁!って大げさじゃない?」と思い始めた頃、
え?まさか。。。と、あることに気付かされ、ああ、これは言えないわと納得。
ってことで、もうこれ以上は何も言えません。(笑)
皆さんも新たな読書の世界を楽しんでみてください。
ちなみに文庫ですので、お求めやすいですよー。
私はこの本を読んであらためて、紙の本最高!と思いました。
だって・・・、って、ああもう何も言えないんだったわね。
今日の本紹介は以上で〜す。(笑)