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『思考の整理学』

2023年4月19日

新年度が始まってまもなく3週間です。
この春、大学生になった皆さんの中には、
この本を買った方もいるかもしれません。

『思考の整理学』
外山滋比古(とやま・しげひこ)
ちくま文庫

去年、全国の大学生に一番読まれた本なのだとか。
でも最近の本ではなく、発売は1983年。文庫になったのが1986年だそうです。
2008年に東大・京大の生協の書籍販売ランキングで1位を獲得して以来、
最近もずっと売れ続けているそうで、売り上げは270万部を突破したのだとか。

また、明文堂書店の書店員さんに聞いたところ、
毎年今の時期は大人の皆さんにもよく売れているそうです。

私は毎年、新年度は初心に帰って
アナウンスや言葉に関する本を読むようにしていまして、
今年は何を読もうかなと思っている時にこの本ことを知り、
読んでみることにしました。

『思考の整理学』は、タイトルの通り「思考法」の入門書です。
外山さんは、英文学者、文学博士、評論家、エッセイストとして活躍されていた方で、
2020年にお亡くなりになりました。

外山さんは、知識を詰め込むだけではなく、自分の頭で考えることが大事だと言います。
それをグライダーと飛行機に例えて、
自力で飛べないグライダーではなく、
自力で飛びまわれる飛行機のような人間こそ、これからの時代に必要だと、
40年前におっしゃっています。

また、自分で飛べない人間は、コンピューターに仕事を奪われる、とも。

コンピューターと言えば、スマートフォンが登場したことで、
ますます自分の頭で考えることをしなくなっていますよね。

スマホどころか、最近は、チャットGPTのような対話型AIも登場し、
考えることはAIにお任せの時代になりつつあります。

だからこそ、今『思考の整理学』が多くの方に読まれているのかもしれません。

この本では、外山さん自身の体験をもとに、
どのように思考を深めていったらいいのかが、分かりやすく綴られています。

例えば…
「思考の整理法としては、寝させるほど大切なことはない」
「いかにうまく忘れるか」
「とにかく書いてみる」
「声を出してみると、頭が違った働きをする」
などです。

ただ「忘れる」だけではなく「うまく忘れる」というのがポイントです。
詳しくは本を読んでご確認ください。

「書く」と言えば、私は仕事柄、自分の考えをよく書いています。
そして、声にも出します。自分で作った原稿は必ず下読みをします。
すると黙読では気にならなかったのに、声に出すと、しっくりこないなんてこともあり、
何度も文章を作り直しては音読をしています。

外山さんは、「考えの乱れているところは、読みつかえるからすぐわかる」と言います。
まさに、それ!
「声は、目だけでは見つけることのできない文章の穴を発見する」そうです。

日頃ラジオにメッセージを送っている皆さんは、
すでに自分の考えを「書く」訓練ができていると思うのです!

さらに、もう一段階、思考を深めるために
ご自身の書いた文章を声に出してみてはいかがでしょう?
きっと色々な気付きがあると思いますよ。

中には、なかなかいい考えが浮かばないから、
自分の考えを書くなんて難しいよ・・・という方もいるかもしれませんが、
この本には様々なヒントが載っていますので、ぜひ読んでみてください。
気軽にできるものもありまして、
例えば、ある3つの状態の時は、いい考えが浮かびやすいのだとか。
そのうちの1つは「散歩中」です。
肉体を一定のリズムの中におくのがいいそうです。
たしかに、それわかるかも。
外を歩いている時や軽くジョギングしている時は、
前向きなアイデアが浮かぶことが多いように思います。

さて、のこり2つは何をしている最中だと思いますか?
答えは本を読んでお確かめください。

『思考の整理学』は、40年前に書いたとは思えない、
チャットGPTが現れた令和の今の時代にこそ必要な本だと思いました。
時代は変わっても、人間にとって大事なことは変わらないってことですよね。

お求めやすい価格の文庫ですし、大人の皆さんもぜひ。

yukikotajima 11:35 am