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『ピンピン、ひらり。』

2022年4月27日

先日、医師の鎌田實(かまた・みのる)先生の講演会の司会をつとめました。

現在、長野県の諏訪中央病院名誉会長のほか、
日本チェルノブイリ連帯基金理事長、地域包括ケア研究所所長など
様々な立場でご活躍です。

鎌田先生は、御年73歳の現役のお医者様なのですが、
私の第一印象はもっとお若く見えました。

なんといっても背筋がピンと伸びていて姿勢が良く、足取りも軽かったからです。
やはり姿勢のいい方はお若く見えるものですね。
私もお腹に力を入れてすっと背筋を伸ばして、ステージへと向かいました。

ちなみに、鎌田さんは実年齢マイナス12歳サバを読むことをすすめています。
一回り下の年齢なら、知り合いは笑ってくれるし、
時々信じてくれる人がいれば、それはそれで嬉しいと。

サバを読むことで、見た目にも気を遣うようになり、
背筋を伸ばすことを意識するようになったそうです。
さらに、胸郭を広げる運動をしたり、
タンパク質もしっかり摂ったりしたことで見た目が変わり、
若々しくなったと褒められ、ますますアクティブに動き回るようになったのだとか。

そして今の目標は「PPH」だそうです。

PPHとは「ピンピン、ひらり」のことだそうです。
死ぬ間際までピンピン元気に生きて、ひらりと逝きたいそうです。

鎌田先生はご自身の入院治療体験がきっかけで
「老い」をしっかりと生きていく覚悟を決めたそうです。

今日ご紹介する本はこちら。

『ピンピン、ひらり。鎌田式しなやか老活術/鎌田實(小学館新書)』

鎌田先生がご自身の体験から得た老いの受け止め方や、
元気な時間を延ばす生活習慣、老いの価値の見つけ方のほか、
自由な発想で老いを楽しむ人たちの紹介など、
鎌田流の「新しい老いの生き方」を指南している本です。

たとえば、これは先日の講演会でもお話になっていたのですが、
「貯筋」つまり筋肉を貯えることが大事だそうです。
筋肉があれば、何歳になっても元気で過ごせるし、自分の足で出かけられると。

また、老化に関係する慢性炎症を防ぐ作用があったり、
気持ちをポジティブにするホルモンを出したりもするのだとか。
筋肉スゴイ!

私も最近は筋肉を増やすことに力を入れているので、
ますますトレーニングを頑張ろうと思いました。

この本には今の筋力の状態を知る5つのポイントが載っていますので、
ぜひ本を読んでチェックしてみてください。

なお、5つのポイントの中には「活舌が悪くなった」があり、
grace内コーナー『お口の中から健康に』の中でもご紹介した
「パタカラ体操」も取り上げられていました。

「パ・タ・カ・ラ・パ・タ・カ・ラ」
と早口で言うことで口腔機能が鍛えられるそうです。

また、コロナ禍を経て怒りっぽくなっている人が増えているそうなのですが、
イラっときたら「パ・タ・カ・ラ・パ・タ・カ・ラ」を6秒続けて言うと
心が落ち着いてくるのでオススメだそうです。
この「6秒」はアンガーマネジメントでおなじみですね。

口腔機能が鍛えられる上に怒りもおさまるなんて、魔法の言葉ですね!
ぜひイライラしたら「パタカラパタカラ・・・」を言ってみてください。

私は40代(鎌田式ですとアラサー)ですが、この本を読んで良かったです。
鎌田先生と同年代の方はもちろん、若い方もぜひ読んでみてください。
年を重ねていくことも悪くないかもと前向きな気持ちになれるのはもちろん、
すぐに実践できることがたくさん書かれていますので、勉強になります。
何より文章が楽しいので、気軽な気持ちで読めると思います。

yukikotajima 12:00 pm

『徳川15代将軍 解体新書』

2022年4月20日

大河ドラマが好きで毎年欠かさず見ている方もいると思います。
私も大人になってからは、ほぼ見ています。

今年は違いますが、大河には徳川家の将軍がよく出てきます。
来年の大河ドラマは、家康が主人公の『どうする家康』ですし。
家康を松本潤さんが演じます。

なんといっても家康が開いた江戸幕府は260年以上も続きましたからね。
そして将軍は15人にのぼりました。

この15人のうち、あなたは何人の名前を言えますか。
また、それぞれの将軍が何をしたのか答えられますか。

家康、秀忠、家光…
そのあとは、えーっと…綱吉、吉宗でしょ、
最後は慶喜だったよね?

なんて方はいませんか。(笑)

今日は、15人の徳川将軍について
わかりやすく紹介された本をご紹介します。

『徳川15代将軍 解体新書/河合敦(ポプラ新書)』

15人の将軍はそれぞれどのような人物で、何を成し遂げたのか。
15人のうち一番の名君は誰だったのか。
もし現代に生きていたなら、どのような仕事をしていたのか。
といった視点で、それぞれの将軍について説明されています。

たとえば「家康」は、江戸幕府を開いた歴代最強の初代将軍で、
身長は159センチ、現代の仕事予想は「政治家・社長・薬剤師」です。

薬剤師の理由は、家康は薬マニアで、医師が用意した薬ではなく
自分で調合した薬ばかり飲んでいたからだそうです。

また、『暴れん坊将軍』でおなじみの八代将軍「吉宗」は、
人望、カリスマ性、歴代NO.1!倹約家将軍で、
身長は155.5センチ、現代の仕事予想は「アイドル・政治家・社長」です。

吉宗がおこなった享保の改革は、傾いた幕府の財政を好転させました。
また、目安箱を設置し庶民の声を政治に反映させたほか、
「どうしても見てみたい!」と海外から馬や象を輸入するなど、
新しいものを好む傾向にあったようです。

では、徳川将軍の中で名君は家康か吉宗なのかと言うと、
著者の河合さんは、一番の名君は六代将軍の「家宣」だと言います。

「家宣(いえのぶ)」、ご存じですか。
家宣の前の五代将軍は犬公方「綱吉」です。
家宣は綱吉の生類憐みの令を撤廃したことでひとびとから人気があったようです。
そのほか河合さんが家宣を名君だと言う理由は、ぜひ本を読んで確かめてみてください。

この本、大変面白かったです!

それぞれの将軍の良いところダメなところを
具体的なエピソードを交えて紹介しているので人柄が伝わってくるのです。
知識を得るだけでなく、読み物としても楽しめました。

ちなみに、私は十四代将軍の「家茂」がいいなあと思いました。
21歳で亡くなってしまったため、政治手腕を発揮できなかったのですが、
陽気で思いやりのある優しい青年だったようです。

たとえば、老齢の重臣に字を習っているときに重臣が失禁してしまい、
それを隠すために重臣の頭に水をかけ手をたたいて大笑いし、
逆に近臣たちから「たちの悪い悪戯ですぞ」とたしなめられてしまったそうです。

優しさが伝わるエピソードですよね。
ちなみに、著者の河合さんによると
家茂は「大奥のアイドル」だったそうですよ。(笑)

ぜひあなたも徳川15代将軍について、楽しみながら学んでみませんか。

yukikotajima 11:25 am

『同志少女よ、敵を撃て』

2022年4月13日

先週、「2022年本屋大賞」が発表され、
大賞に逢坂冬馬(あいさか・とうま)さんの
『同志少女よ、敵を撃て(早川書房)』が選ばれました。
おめでとうございます〜!

本屋大賞は、全国の書店員がいちばん売りたい本を投票で選ぶ賞です。
大賞受賞作は映像化されることも多く、
2020年の大賞受賞作『流浪の月』は5月13日に映画が公開されます。

今年の大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』は逢坂さんのデビュー作で、
アガサ・クリスティー賞大賞を受けたほか、直木賞候補にもなりました。

◎本屋大賞の公式サイトは コチラ

先日いくつかの書店をまわってみたのですが、
どのお店もこの作品が一番目立つところに山積みになっていまして、
書店員の皆さんの熱い思いを感じました。

この作品は、第二次世界大戦中の旧ソビエトとドイツの戦いを舞台に、
故郷をドイツ軍に襲撃され母を殺された少女がソ連軍の狙撃兵になり、
女性だけのスナイパー部隊の一員として戦争を生き抜いていく物語です。
なお、女性狙撃手がいたのは事実だそうです。

物語をもう少し詳しくご紹介していきますね。

モスクワ郊外の小さな村に住む少女セラフィマの夢は、
モスクワの大学に進学して外交官になって
戦争が終わったらドイツとソ連の橋渡しをすることでした。
そのためにドイツ語も学ぶなど、真面目で心優しい少女でした。

ところが、ある日、村をドイツ軍が襲い、母も村の皆も殺されてしまいます。
助けに来てくれた思われた女性兵士は母の亡骸に火を放ち、
セラフィマにこう問います。「戦いたいか、死にたいか」と。

「母を殺したドイツ軍も、あんたも殺して、敵(かたき)を討つ」
と答えた彼女は、女性の狙撃兵訓練学校で訓練を受けることに。

厳しい訓練ののち、ついに狙撃手専門の特殊部隊として戦うことになるのですが、
初陣で初めて敵兵を殺し、戦友も失った彼女は泣き続けます。

しかし時間が経つにつれ、戦友を失った怒りは敵への憎悪へと変わっていくのでした。

若い兵士がこんなことを言います。
「凄いよね、復讐の力って。生きる希望を与えてくれる」

セラフィマたちは戦いを続けていくうちに強くなるだけでなく、
仲間で集まっても、銃の話と狙撃技術の話しかしなくなります。
みんな若い女性たちなのに。。。

でも、戦争で戦う兵士たちも戦争前は普通の人たちで夢もありました。

セラフィマが外交官になりたかったように、
他の兵士たちにも、女優、サッカーのドイツ代表のキャプテン、
子どもを育てていつか孫に会いたいなど、それぞれ夢がありました。

この普通の会話が、戦争の悲惨さをより際立たせていました。
というのもこの物語は、ほぼ戦争の描写だからです。
それもあまりにも生々しくて、何度も本を閉じたくなったほどです。

正直なことを言うと、この本が以前から話題になっていたことは知っていましたが、
「少女が復讐のために狙撃兵になる」物語を読みたいとは思えませんでした。

でも、本屋大賞の授賞式で著者の逢坂さんが暴力や戦争を否定していたことや、
小さな声に耳を傾けたいと思っていること、
そして、増刷で得た印税を難民支援に寄付していたことなどを知り、
買って読んでみることにしました。

この本には、ウクライナの話題も出てきます。
セラフィマと共に戦う女性兵士はウクライナ出身ですし、
エピローグには「ロシア、ウクライナの友情は永遠に続くのだろうか」とあり、
フィクションの物語が現実の世界と繋がっていることにも気付かされます。

そして最後まで読んでわかりました。
これは反戦の物語だと。

読む前から本のタイトルや表紙、帯を見ただけで読みたくない、
と思ったことを反省しました。

セラフィマたち女性の狙撃兵が上官から「何のために戦うか」聞かれるのですが、
それぞれ理由を述べる中、セラフィマは「女性を守るため」と答えます。
「復讐」ではなく。

戦時中、女性を守るとはどういう意味なのか。
ぜひ本のページをめくってお確かめください。

この本は戦争について書かれた本ですが、
女性同士の繋がりを描いたシスターフッドの物語でもあります。
ですから戦争小説はちょっと苦手…と言う女性もぜひ。
いや、男性にこそ読んで頂きたい。
つまり、みんなってことですね。(笑)

私のように本のタイトルや表紙の少女の絵だけで判断せず、ぜひ読んでみてください。
読んだ後は、表紙もタイトルも印象がだいぶ異なっているはずです!

yukikotajima 11:25 am

『日本語の大疑問』

2022年4月6日

今日の午後、「本屋大賞」が発表されます。

◎本屋大賞のサイトは コチラ

私はノミネートされている10作品のうち5作品読んでいます。
私の予想は、一穂ミチさんの『スモールワールズ』ですが、
どの作品が選ばれるのでしょうか。楽しみ!

さて、新年度になったということで、
初心にかえって「日本語」に関する本を読んでみました。

『日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界/国立国語研究所』

国立国語研究所(こくりつこくごけんきゅうじょ)は、
昭和23(1948)年に、日本人の言語生活を豊かにする目的で誕生した、
日本の「ことば」の総合研究機関で、ことばの専門家が集まり、
言語にまつわる基礎的研究や応用研究を行っているそうです。

この本は、国立国語研究所(略称 国語研)に寄せられた
日本語に関する疑問・質問に国語研の関係者が答えたものです。

また、あくまでも言語の研究をするところであり、
正しいことばの使い方を決めるところではないそうです。

ですから、例えば「やばみ」や「うれしみ」といった言葉を取り上げ、
なぜこのような表現が使われるようになったのか、まじめに分析しています。

「うれしい」をなぜ「うれしみ」とするのか。
名詞化するなら「うれしさ」ではないのか。

大人の皆さんの中には、「〇〇み」という使い方を見聞きするたびに
眉をひそめながら「何その使い方?」と思っている方もいるかもしれません。
そんな方はぜひこの本を読んでみてください。
ことばの専門家の分析を見ると、なるほど!と納得できると思います。
今どきの言い方をするなら「わかりみ」が深いです。(笑)

そのほか、私が一番読んでいて楽しかったのは、「絵文字」についての話題です。

今やすっかりおなじみの絵文字は、実は日本が発祥なんです。
NTTドコモが1999年に開発したiモードに最初に絵文字が搭載され、
当時人気のiPhoneには絵文字はありませんでした。
その後、当時日本で唯一iPhoneを販売していたソフトバンクの孫社長が
日本での普及には絵文字の導入が欠かせないと強く主張したことで
2011年に絵文字がemojiとしてiPhoneに搭載され、
一気に世界中に広がっていったそうです。

そして、2016年にはニューヨーク近代美術館が、
NTTドコモが作成した最初の絵文字176個を常設収蔵品として購入しました。

その絵文字もどんどん進化しているのですが、
詳しくはこの本を読んでみてください。

他に興味深かったのは、「お客様に知られずに伝えたい言葉」です。
そのお店独自の隠語についての話題は、
大学時代のファミリーレストランでのアルバイトを思い出し懐かしくなりました。
当時、私はカーサで働いていたのですが、
トイレ掃除のことを「C番チェック」と言ってました。

皆さんの職場にも隠語はありますか?

それから、日本語が好むリズムも面白かったです。
たとえば、「バーバ」はいいけれど「ババー」は好まれないそうです。

といった感じで「日本語」を様々な角度から分析していて、楽しく学ぶことができました。
やはり「学び」は楽しくなくちゃね!

今年度は、たくさん「学ぶ」一年にしていきたいと思っています。
大人になればなるほど「学ぶこと」「知ること」が楽しく感じます。
謙虚な気持ちで新しい世界をどんどん知っていきたいなと。
仕事も「新人」の気持ちであらためて頑張ります!
今年度もどうぞよろしくお願いします。

yukikotajima 11:41 am