『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学』
2022年2月2日
みなさんは、買い物をする時、本当に欲しいものだけを買えていますか?
なぜか買う予定のないものまで買ってしまうことはありませんか?
たとえば、レジの横に置いてある特価商品をカゴに入れてしまったり、
本当は洋服を1着だけ買うつもりだったのに2着で割引と言われて、
あわててもう1着買ってしまったりしたことはありませんか?
私は恥ずかしながら、よーーくあります。
まあ、ラジオをお聞きの方はすでにご存知かもしれませんが。(笑)
でも、私のような人は珍しくはないようです。
私たち人間は、無意識のうちに
何らかの情報や意図のもとに動かされているそうなんです!
今日は、そんな無駄遣いをしがちな皆さまにオススメの本をご紹介します。
『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学(新星出版社)』
本の監修は、東京大学の教授の阿部誠さん。
マーケティングの第一人者です。
「行動経済学」という言葉を聞いたことはありますか?
「経済学」ではなく「行動経済学」です。
「学」とついている時点で難しそうだからムリー!思ってしまいそうですが、
「行動経済学」は身近なものなので難しくありません。
行動経済学とは、人間が必ずしも合理的に行動しないことに着目し、
人間の心理的、感情的側面の現実に即した分析を行う経済学のことです。
これまでの伝統的な経済学では、
人間は常に合理的な選択をするものと定義されていましたが、
行動経済学は人間にはいい加減なところもあるよ!
という点に注目した新たな学問で、
経済学と心理学のハイブリッドと言われることもあるそうです。
そう、私たちは「いい加減」なんです!(笑)
ちなみにこの本には「ほどよく合理的」とあります。
この本は、実例をあげてイラストや図解で「行動経済学」を説明していますので、
自分だったらどういう行動を取るか想像しながら学ぶことができ、
楽しく、そしてとても分かりやすかったです!
例えば、同じ内容でも言い方や書き方が異なると、私たちの選択も変わるんですって。
ここで問題です。
AとBの説明では、どちらの商品を欲しいと思うでしょうか。
A 満足度90%
B 10人に1人は満足できない
実際には同じことを言っているのですが、
Aは好印象を、Bは不安を抱く人が多くなるそうです。
また、栄養ドリンクなどでよく見かける「タウリン1000mg」といった表記も
「1g」より「1000mg」のほうが多く感じられますよね。
同じことを言っていても表記が変わるだけで印象が異なります。
また、僅かな差で印象が大きく変わることもあります。
2000円と1980円では、20円しか違わないのに、
1980円のほうがとてもお得に感じられませんか?
これは、私たちの頭には「1000円台」という印象が
強くインプットされるからなんですって。
それから、私たちは2択より3択のほうか選びやすいそうです。
そして選ぶのは真ん中のものであることが多いのだとか。
たしかに保険の契約にしてもレストランのコースにしても3択って多いですよね。
そして、迷った時は真ん中を選びがちです。
実際、竹と梅だけだったメニューに高価な松が追加されたことで、
真ん中の竹を選択する人が増えるそうです。
つまり、私たち人間は主体的に選んでいるつもりでも
無意識のうちに何らかの情報や意図のもとに動かされているんですって。
でも、その意思決定のくせを知ることができれば、
お金の使い方を見直すことができます。
逆にビジネスシーンに活かすこともできます。
この本にはマーケティングの成功事例などものっています。
監修をされた阿部教授によると、
人間の持つ非合理な一面に着目した「行動経済学」は
消費行動に関わるすべての人に役立つ
そうです。
私は、「行動経済学」を知ることは「人間」を知ることでもあると思いました。
みんな実はあまり深く考えずに日々いろいろな選択をしていると思ったら、
ちょっとくらいいい加減なところがあっても、
ま、それが人間ってもんよ、と人に対しておおらかな気持ちになれそうだなと思って。
この本で言いたいことは、決してこんなことじゃないかもしれないけれど、
不寛容な時代だからこそ、ちょっとくらい間違えても、人間ってそんなもんなのよ、
と思える心の余裕も必要なのかもなあと。
でも、自分自身はなるべくなら間違えたくなーい!という方は、
ぜひこの本を読んで「行動経済学」を学んでみてください。
私は読んで良かったです。
今後、買い物をする際にはちょっと冷静になって
「行動経済学」を思い出そうと思います。
やはり学ぶって楽しいわ!
次はどんな学問の扉を叩いてみようかしら。