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『楽観論』

2021年8月25日

コロナ禍が長引いていることから窮屈さも増してきました。

何かをあきらめなければいけなかったり、
楽しみにしていたことがドタキャンになったり。
私の場合は仕事のキャンセルも増えてきました。

SNSを見ても最近は怒りや悲観的なコメントが増えているので、
心が疲れているときや元気が無いときは、SNSを見ないようにしています。

またネットの世界だけでなく、
リアルな人付き合いの場でも不機嫌な人が多いように思います。

そんな中、本屋さんでこの本を見つけ、
なんて素敵な言葉!とすぐに手に取ってしまいました。

『楽観論/古市憲寿(新潮新書)』

著者は社会学者、作家の古市さんです。
作家としては、『平成くん、さようなら』と『百の夜は跳ねて』の2作品が
芥川賞にノミネートされ話題となりました。
また、様々なテレビにも出演し、そのコメントがたびたび炎上しています。。。

私は以前、古市さんとトークショーをしたことがあるのですが、
炎上も多いため、正直やりづらそうだなあと思っていたものの(笑)、
実際にお会いしてみたら、とても話しやすく楽しい時間が過ごせました。

頭の回転が速く、何を聞いても面白い答えが返ってくるので
私自身も聞きたいことがどんどん湧いてくる感じでした。

古市さん自身がカラッとしているので、
毒を吐いても重い雰囲気にはならないのですよね。

本屋さんで『楽観論』というタイトルとともに
帯に描かれた「絶望って、安易じゃないですか?」
という言葉を見て、思わずマスクの中で笑ってしまいました。
なんて古市さんっぽい言葉なんだろうと。

古市さんによると、悲観論は人を賢く見せ、
楽観論は、どこか間抜けで、馬鹿らしく響いてしまうのだとか。

でも、全てを「仕方ない」とあきらめてしまう前に、
まずは、自分自身や、自分の周囲を楽観的にとらえてみるのがいいそうです。

人は、科学的根拠がなくても、ほんの些細なきっかけで自信を持ったり、
幸せな気持ちになったりするんですって。

確かに星占いがいいと、それだけでテンションが上がったりしますもんね。

『楽観論』には、悲観的にならずに生きるためのヒントが書かれています。
話題も多岐にわたっていて、楽しく読むができます。


いくつか例をあげると…

*世界進出のキーワードは「中二」

サービスでもゲームでも文学でも、ユーザーが中学生であってもわかるか、
という視点をもつことが大切なんだとか。

私もアナウンサーになる前の研修で
「ラジオでは中学生が聞いてわかるように喋りましょう」と教わりました。
やはり「わかりやすさ」って大事なんですよね。

一方、高齢者は新しいものが苦手とよく言われますが、
それに対して、古市さんは、年長者ほど社会の大変化を受け入れてきたと言います。
特に戦後の変化は大きかったと。
そして、高齢者自身が新しいものは無理と思い込んでいるのではと指摘します。

また、古市さんは何かを「難しい」と感じる場合は、
作り手のセンスのなさを疑った方がいいと言います。

この考え、古市さんっぽいわー。

でも、私もそれはよくわかります。
自分の理解力ではなく、作り手のせいだ!という考え、私もよくしてますもん。(笑)

自分の言いたいことだけを発信していて、
相手に理解してもらいたいという気持ちが少ない
商品やサイトや言葉があふれてるように思います。

あなたの会社のサイトや商品は、わかりやすいですか?


*過激な言動は落ち目のサイン

落ち目の時ほど過激になるという法則があるそうです。
たとえば、マニアックなファンの声に耳を傾け、
大衆からズレていったアーティストは多いけれど、
長年第一線で活躍している歌手はそれとは真逆の行動を採ることが多いのだとか。

たとえば、人気アーティストはドラマやCMとのタイアップも多いものの、
本当の作家性とはタイアップくらいで失われるものではない、と古市さんは言います。

やはり長年活躍している人は、ご自身に一本しっかり軸があるからこそ、
どんなことにも柔軟に対応できるものなのですよね。

私も様々な人と仕事をする機会がありますが、
本当にスゴイ!と思う人はやはり柔軟な方が多いように思います。


*締め切りのある人生を送る

コロナ禍がいつ終わるかわからないような、社会に締め切りが無い時代には、
個人的な締め切りを多く設けたほうが精神衛生上いいのだとか。

実際、作家たちも締め切りが数々の傑作を誕生させてきたそうです。

私も毎週水曜にラジオで本紹介をしていますが、
締め切りがあるから定期的に本を読めているのかもな。


本の最後には、「楽観とはどういうことか」について
古市さんがとても分かりやすく表現されています。
それが何なのか気になる方はぜひ本を読んでみてください。

『楽観論』というタイトルですが、
「ま、どうにかなるでしょ!」という、
ただノリと勢いだけの内容ではありません。

悲観的になりがちなこの時代をどう生きていけばいいかのか、
古市さんから学ぶことはきっとあると思いますし、
そもそもこの本の内容が面白いので楽しく読めます!

それから、この本とあわせて古市さんが過去に書かれた
『誰の味方でもありません』も読んでみてください。
こちらもカラッとした内容で読むと心が軽くなりますよ。

◎『誰の味方でもありません』の田島の感想は コチラ

yukikotajima 11:42 am