『口福のレシピ』
2020年9月30日
あなたはスーパーマーケットに行くのは好きですか?
私は料理はそれほど得意ではないものの、行くのは好きです。
旅行先でも地元のスーパーに立ち寄っています。
その土地ならではの食材やお惣菜に出合えるのが楽しいのです。
今日ご紹介する本は、スーパーマーケットが大好きな女性の物語です。
彼女にとってスーパーは「町のテーマパーク」で、
疲れた日でも、スーパーに寄って帰ろうと考えるだけで足が軽くなるほどです。
『口福のレシピ/原田ひ香(小学館)』
著者の原田さんと言いますと、
以前『三千円の使いかた』という小説をラジオでご紹介しました。
◎私の感想は コチラ
ある家族の、お金にまつわる連作短編集なのですが、
物語の面白さはもちろん、お金の勉強もできた一冊でした。
この本を読んでから、家にある食材を使い切ってから新しい食材を買う、
という考えが身に付きました。
今回ご紹介する『口福のレシピ』も真似してみよう!と思えるような
タメになる話題が満載の小説でした。
ちなみに、私が早速実践したいと思ったのは、本のタイトルにもある「レシピ」です。
この本には、たくさんの美味しそうな料理が登場します。
合わせてお酒も色々と出てきまして、
ああ、本の世界に入りたい!と何度思ったことか。(笑)
しかも出てくる料理が、料理が得意でない私でも作れそうなものばかりなのです。
主人公の留希子(るきこ)は、忙しい女性たちを助けたいと、
簡単で美味しい献立レシピをSNSで発信しています。
例えば、鯛の頭の骨酒は、
アラとして売られている鯛の頭に軽く塩を振って、半日以上干して、
からりと焼いて熱燗に浸すだけです。
なんと、ふぐのひれに勝るとも劣らないのだとか。
うー。飲みたい!
彼女は、友人と二人暮らしをしているのですが、
実家は、江戸時代から続く古い家柄で、
老舗料理学校「品川料理学園」を経営しています。
しかし、実家との関係はあまり良くなく、
料理学校の後継者になるのは嫌だー!と家を出てしまったのです。
とは言え、料理をすることは好きで、
料理研究家としてSNSの発信をメインに活動しています。
そしてそして。
この小説は昭和二年の料理学校の物語も同時に進行していきます。
主人公は、女中奉公に来て半年のしずえです。
この二つの物語がどう交わっていくのかは、
ぜひ本のページをめくりながら楽しんでください。
***
今回の作品も面白かったです。
たくさんの美味しそうな料理の描写をメインに、
留希子と実家の関係や、しずえの秘密などが描かれた、
様々な楽しみ方ができる一冊でした。
また、留希子が一緒に暮らす友人とのやり取り楽しかったです。
この友人が、料理がそれほど得意ではないけれど、お酒も食べることも好き、
という私のような人だったので、彼女の発言には大いに共感。
例えば、留希子がSNSで発信するための1週間分の簡単レシピを考えている時に、
最後の日は余った食材で適当に作ってもらえばいいよね!と言ったのに対し、
友人は「あなたは、残り物を玉子焼きに入れればスペイン風オムレツになるけど、
私は、ぺちゃっとしたきったない残飯玉子ができるだけ」と反論します。
わーかーるー!(笑)
そんな二人のやり取りも楽しかったです。
それから、本を読み終えた後、ぜひ本のカバーを外してみてください。
あ、これは・・・と気付くはずです。
ああ、こうやって感想を書いているだけでお腹が空いてきたわ。(笑)
とにかくお腹が空く小説であることに間違いはありません!
食欲の秋にこそおすすめの一冊です。
ぜひお読みください。
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