『スキマワラシ』
2020年9月2日
最近、怖い話が人気のようで、
映画をはじめ、テレビやネットでもそういった話題をよく目にします。
今日ご紹介する本にも不思議な少女が出てきます。
『スキマワラシ/恩田陸(集英社)』
紀伊國屋書店富山店の奥野晃英さんの推薦本です。
まずは、奥野さんの推薦コメントです。
✴︎✴︎✴︎
古道具屋を営む兄と、不思議な力を持つ弟。
今は亡き両親の面影を追って古い「タイル」を探す二人は、
ビルの解体現場に現れる「ザシキワラシ」ならぬ
「ビル童子(ワラシ)」の話を耳にします。
誰もが姿は見るものの顔は知らないという、
不思議な少女を巡る物語が始まります。
夏の青空の表紙が目印の本作は、
当店エスカレーター前の新刊台で展開しています。
✴︎✴︎✴︎
恩田陸さんと言いますと、
2017年に『蜜蜂と遠雷』が直木賞と本屋大賞を受賞し、
映画化もされるなど話題となりました。
また、子どもの頃、富山で過ごされたこともある
富山にゆかりのある作家さんです。
新作の『スキマワラシ』は、
2018年から19年にかけて北日本新聞で連載されていましたので、
お読みになっていた方もいるのでは?
そんな方は是非感想をお寄せください。
この本は、古道具屋を営む兄と、
兄の仕事を手伝いながら夜は古道具屋の店内でバーをしている弟が、
謎に巻き込まれていくファンタジックミステリーです。
物語は、弟の視点で進んでいきます。
ラジオのように話しかけるスタイルの一人喋りなので、
本を読むというより、人の話を聞いている感覚でした。
次はどんなことがあったの?ねえねえ早く聞かせてよ!
という感じで本のページをめくっていきました。
実はこの弟には不思議な能力があります。
古いものに触れると過去が見えるのです。
中でも古いタイルを触れた時に見えた光景が気になり、
兄とともに古いタイルを探しはじめます。
古道具屋で働く二人は、仕事柄、古い建物の解体現場に
よく足を運んでいるのですが、その際、こっそり古いタイルも探しています。
ある日二人は、建物の解体現場でたびたび目撃される少女の噂を耳にします。
でも、少女を見たことがあっても、誰も顔は見たことはありません。
いったい彼女は何者なのか…。
古いタイルに少女と謎が増えていく中、
兄弟は一人の芸術家の女性に出会い、
とある地方都市のアートフェスティバルに共に参加することになります。
そして、物語が大きく動き出します。
✴︎✴︎✴︎
500ページ近くもある長編ですが、長さを感じることなく楽しめました。
ファンタジーというより、
謎を追っていくミステリーとしての面白さが際立っていて、
夢中で本のページをめくり続けました。
また、この本、兄弟二人の会話がいいのです。
この二人がとても魅力的です。
本の表紙も夏の青空が広がり爽やかです。
ただ、本の帯には、
誰もがその子を「見た」と言う。
でも、その顔は誰も知らない
とあり、怖そうな気配が漂っているのですが。。。
でも、怖い話は苦手…という方でも大丈夫です!
まあ、それなりにドキドキ感はありますが。(笑)
この夏どこにも出かけられず、
心が大きく動くような刺激も無く、
ただ、なんとなく夏が終わってしまった…
という方は『スキマワラシ』を読んでみては?
様々なドキドキのほか、
物語の後半に登場するアートフェスティバルが
ちょうど今の時期の開催ということもあり、
まるで自分もフェスに関わったかのような気分が味わえるのも良かったです。
やはり恩田陸さんの作品はページをめくるのが楽しくて好きだ!
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<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>
現在、店内中央イベントコーナーでは、様々なフェアを開催中です。
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9月22日(火)まで毎年好評の化石・鉱物フェアを開催しています。
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<紀伊国屋書店富山店>
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
◎HPは コチラ
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