勿忘草の咲く町で 〜安曇野診療記〜
2020年1月15日
今日のユキコレ(grace内コーナー13:45頃〜)でご紹介する本は、
映画化もされた『神様のカルテ』シリーズでおなじみの
夏川草介さんの新作です。
『勿忘草の咲く町で 〜安曇野診療記〜(角川書店)』
今回も『神様のカルテ』シリーズと同じく医療小説なのですが、
夏川さんによると、
『神様のカルテ』では書けないことを、書きました。
とのこと。
『勿忘草の咲く町で』のテーマは「高齢者医療」。
それも都会ではなく地方の物語です。
舞台は長野県松本市郊外の病院。
主人公は、看護師になって3年目の女性、美琴(みこと)です。
この病院の特徴は何と言っても高齢の患者が多いということ。
特に内科病棟は、まるで高齢者の介護施設のようです。
その内科へ研修医の桂先生がやってきます。
実家がお花屋さんのため、お花には詳しいけれども、
見た目はちょっと冴えない男性です。
でも、医者としての仕事は真面目にしています。
この病院は地方の小さな病院ですが、
急性期病院でもあり、次々に患者さんが病院に搬送されてきます。
医者不足なのにも関わらず地域からの要求は昔よりも厳しくなっており、
たとえ研修医であったとしても休みなく働き詰めです。
また、患者のほとんどがご高齢です。
寿命と治療をどう考えるか、先生によって考え方も様々です。
研修医の桂先生は、先輩から
何が正しいかは誰にもわからない。
大切なことは、できるだけ色々な考え方に触れて、
自分の哲学を鍛えるということだ。
・
と言われます。
桂先生は悩みながら自分なりの答えを見つけていきます。
そういった地方の病院における高齢者医療の現実を描いたのが、この作品です。
私自身、自分が高齢者になった時、どんな治療を受けたいのか、
また、人生をどのように終わらせたいのか、
本を読みながら真面目に考えてしまいました。
この本を読むと、きっと誰もが自分や家族の最期について考えると思います。
そういう意味でも読んで良かったです。
また、この本は、医療小説であるだけでなく、
看護師の美琴と研修医の桂先生の恋愛物語でもあるのです。
この恋愛部分がいい感じです!初々しくて。
ベースは高齢者医療ですが、
そこに恋愛のお話が時折はさまれ、物語を彩っています。
また、桂先生がお花が好きということと
彼らが住む安曇野が自然豊かな場所ということもあり、
本を読みながら目の前に美しい景色と華やかな色彩が広がり、
豊かな気持ちになれました。
特に自然の描写が美しく、声に出して読みたくなるほどです。
物語としての面白さはもちろん、
自分や家族が人生の最期をどう迎えるべきか考えるきっかけにもなり、
また初々しい2人の恋愛小説としても楽しめる1冊です。
ぜひお読みください♪
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