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短編少年

2019年8月28日

もうすぐ8月も終わりますね。
この夏はどんなことが印象に残っているでしょう?

お子さんたちは宿題は無事終わりましたか?

もし、今あわてて宿題をしていて、
実は読書感想文も終わっていない…。
今から本を読む時間も無いよー。
という方にオススメの短篇集があります。

『短編少年(集英社文庫)』

こちらは、少年をテーマに綴られた短編作品9編が収録されたアンソロジーです。

本屋さんでこの本を見つけたとき、思わず手を伸ばしてしまいました。
だって、本の表紙に書かれたお名前があまりにも豪華だったのですもの。

伊坂幸太郎さん
あさの あつこさん
佐川光晴さん
朝井リョウさん
柳広司さん
奥田英朗さん
山崎ナオコーラさん
小川糸さん
石田衣良さん

どうですか?
豪華過ぎやしませんか?

もし福袋だったら、はずれなしの超豪華福袋です。
オトクすぎます。

あまりにも有名なお名前ばかりの短編集でしたので、
もしかしたら過去に読んでいるかもしれないと思ったほどです。
(調べたら読んでいませんでした)

さっそく本のページをめくってみました。
最初の作品は伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』でした。

いきなり小学生たちが集団でカンニングを実行しようとしている物語で、
ん?これは面白いのか?なんか嫌なタイプのお話のような気がする…
と思ったのですが、最終的にはとてもいいお話でした。

このお話は、大人になった元少年が、
あることがきっかけで思い出した
小学6年生のある数か月のことが描かれています。

先生から馬鹿にされている友人を救おうと奮闘する少年たちの物語なのですが、
あの手この手で先生に、彼は素晴らしい少年だということを気付かせようとするのです。
それが突拍子もないアイデアばかりなのだけど、みんな、本当に優しいのです。

でも、子どもたちの優しさに感動する一方で
すっかり大人になった私は、子どもたちに大切なことを気付かされもしました。

大人が子どもに発する言葉は、大人が思う以上に影響がある、ということです。

例えば、失敗する度に「あなたは本当にダメね」と言われ続けたらどうでしょう?

大人から、あなたはダメと言われてしまうと、
子どもは、そうか自分はダメなんだと思ってしまいます。
また、それを聞いていた周りの人も皆、
あの子はダメな人なんだと思ってしまう。

子どもの未来を狭めるのも広げるのも、大人の言葉次第なのかもな。

思い当る大人の皆さんは、言い方をこれまでとちょっと変えてみませんか?
その前に、まずはこの物語をお読みください。

伊坂さんのお話は、やはり面白い!とあらためて実感。
本当にいいお話でした。

***

他には、部活でズルをしてしまい後悔する少年の物語、
地区大会の初戦の前日に野球部の元部員が補導されるというお話、
活躍が期待されていたものの、
ケガをしてバスケ部を辞めた高校生の物語などが収録されています。
また、中には少女が主人公のお話もあります。

どの作品の少年たちもみんなそれぞれ
悩んだり、間違ったりしているのだけど、
どの少年も愛おしかった!

未熟だからこそ失敗もするし、その一方で能天気だったりもする。
でも、実は繊細で、人を傷つけてしまったことをものすごく後悔したりもする。

少年たちは、そうやって失敗や後悔を繰り返しながら大人になっていくのですよね。

私には子どもはいないけれど、
まるで母の気分で読んでしまいました。

***

『短編少年』は、少年たちの物語ですので、
若い皆さんに読んで頂きたいですが、大人の皆さんにもオススメです。

この短編集を読むことで、ご自身の懐かしい記憶や
すっかり忘れていた若い頃のピュアな気持ちが思い出されるかもしれませんよ。

***

そうそう!
夏の間は、各出版社で「夏の文庫フェア」を開催しており、
文庫を買うと、プレゼントがもらえます。

私もこれらを頂きました♪
かわいい〜。

あと、夏の文庫フェアの冊子も面白いですよー。

冊子は無料ですので、ぜひ手に入れてみてください〜。

yukikotajima 12:07 pm

花のアルペンルート立山

2019年8月22日

今年は本当に暑い夏でしたが、
涼を求めて立山黒部アルペンルートへ行った方もいらっしゃるのでは?
中には、近々行く予定の方もいらっしゃるかもしれません。

国内外から大勢の観光客が訪れる人気の観光スポットの立山黒部アルペンルートは、
日本を代表する高山植物の宝庫でもあるそうです。

実際、様々な植物を観察しながら散策される方も多いと思いますが、
目にした植物がどんな名前のお花なのかわかったら、
より楽しめると思いませんか?

そんな散策時におすすめの本があります。

『花のアルペンルート立山 —フラワーウオッチングガイド—(ほおずき書籍)』

本を書かれたのは、日本海植物研究所を主宰し、
高山植物やブナ林の調査などを行っている
富山出身、在住の佐藤卓(さとう・たかし)さんです。

こちらの本では、立山黒部アルペンルートに咲く数多くの植物を
花の色や構造によって分類し、カラー写真とともに解説しています。
さらに、英文の解説も付いていますので、外国の方にもオススメです。

佐藤先生によると、
この時期も様々な植物を見ることができるそうで、
特に今はキク科の植物が見頃で、
例えば「タテヤマアザミ」などはたくさん見られるのだとか。

また、お花は9月中旬まで、
その後は葉が紅葉したり実をつけたりする様子が楽しめるのだとか。
真っ赤な「ナナカマド」は大変美しいそうですよ。

近々立山黒部アルペンルートに行く方は、
ぜひ『花のアルペンルート立山』を手に散策を楽しんでみてください。

また、佐藤先生は、過去に訪れたことのある方も
「あの時、こんなお花があったね、と思い出しながら読んでほしい」
とおっしゃっていました。

私もこの本を読んでみましたが、
植物の写真が全てカラーなので、見ているだけでも癒されました。
また、植物の種類の多さにも驚きました。
好きなタイプの植物を見つけながら読むのもいいでしょうし、
ページごとに似たタイプの植物が紹介されていますので、
色々比べながらページをめくるのも楽しいと思います。

『花のアルペンルート立山 —フラワーウオッチングガイド—』は、
県内の各書店の他、チロルやスポーツのマンゾクなどの山道具屋さん、
立山あるぺん村などで買うことができます。

また、佐藤先生のHP「日本海植物研究所」からも注文できます。

日本海植物研究所のHPは コチラ

立山黒部アルペンルートの散策のお供にぜひ〜♪

yukikotajima 12:24 pm

三体

2019年8月21日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本は、
中国をはじめ、世界で話題になっている小説です。

『三体(さんたい/劉慈欣(リウ・ツーシン)<早川書房>)』

本について詳しくは、奥野さんが紹介していますので、
まずは コチラ をお読みください。

***

世界で話題の小説『三体』を私も読みました。
実は、きのうの夕方、仕事が終わってから読み始めたのですが、
かなりのボリュームで、読み終えたのは夜中でした。(笑)

科学者の物語なので、難しい言葉が並んでおり
最初は「うっ、これは理解できないかも…」と思ったのですが、
そこに関しては考え過ぎるのをやめて
物語そのものを追っていったところ、
楽しく読むことができました。

ですから科学に関してあまり知識が無いという方も
「難しい…」と思ってもやめずに、
ぜひ物語そのものを追っていってください。

なんといってもこの物語は、SFですしね!

それに面白いので、途中からはその先が気になって
ページをめくる手が止まらなくなると思います。

私には物語の出来事がフィクションに思えず
似たようなことが実際おこっていてもおかしくない、
と思わずにはいられませんでした。
そんなことを思いながら夜遅く眠りについたら
案の定、夢に出てきました。
まさか私まで物語の世界に入ってしまうとは!(笑)
だいぶ怖かったです…。

ちなみに、『三体』は、三部作で、
この作品はその中の「一部」だそうです。

また、中国ではドラマ化が決まったのだとか。

私の予想!
いずれ、アニメ化もされる気がする。
しかも日本で。

日本でアニメ化されたら、さらに爆発的な人気になりそうだわ。

***

そうそう!
なんとキノコレ、ユキコレでこれまで紹介してきた本が
「フェア」として紀伊國屋書店富山店で紹介されることになりました。

詳しくは今日のラジオを聞いてね♪

yukikotajima 11:40 am

夏休み中にオススメの本

2019年8月14日

こんにちは。
お盆休み、楽しんでますか?
私は、昨日まで群馬の実家に帰っていました。

新幹線で帰省したのですが、
車内ではずっと本を読んでいました。

今日は、忙しい中でも移動時間や隙間時間に読める本と
夏休み中の学生の皆さんにおすすめの本、
いずれも「文庫」をご紹介します。

まず、大人の皆さんにおすすめなのは、
『5分で驚く! どんでん返しの物語(宝島社文庫)』です。

タイトルの通り、1話5分で読めるお話が25作品収録されています。

ですから、電車の移動時間や寝る前の5分など
ちょっとした隙間時間でも楽しむことができます。

短いお話だと印象に残りにくいのでは?と思われそうですが、
こちらの短篇集は、「最後の1ページ」、「最後の1行」にこだわっているので、
どの作品もインパクトがあります。

また、作品ごとに作家が変わるため、内容はバラエティに富んでいます。

ドキドキしたり、怖かったり、心が温まったり、泣けたりと、
たった5分の物語に心が刺激されまくりでした。

ちなみに、最初のお話は富山が舞台でした。
北アルプスの山奥に特別な料理を提供しているお店があるのだとか。
その料理をどうしても食べたいと思った男性は、
そのお店を目指して山道を進んでいきます。
しかし、場所は黒部川の源流です。簡単に行ける場所ではありません。
果たして男性は、その特別な料理を食べることができるのか、
といったお話です。

どの作品も短いながらも「どんでん返し」を味わえるので、
読んだ後の満足感が高いと思います。

夏の間、本を読みたいけれど、
まとまった時間は取れそうにない…
という方にこそおすすめの一冊です。

気に入った方は、シリーズ化されていますので、
ぜひ他の本も読んでみてください。

***

続いてご紹介するのは、夏休み中の学生さんにおすすめの本です。

学生の皆さん!今日は8月14日(水)です。
夏休みの宿題の定番、読書感想文はもう書きましたか?

まだ書いていない…という方は、
まずは、この本から読んでみてはいかがでしょう?

『だれでも書ける最高の読書感想文/齋藤孝(角川文庫)』

そもそも何を読んだらいいかわからない。
感想と言われてもどう書いていいのかわからない。
というか、読書があまり好きではない。

読書感想文が苦手な理由は色々あると思いますが、
これらの悩みもこの本を読めば、きっと解決するはずです。

でも、この本を読むのも辛そう…と思った方!

この本は、まるで齋藤孝さんが語りかけるように
やわかい文体で書かれていますので、お話を聞いている感覚で読めます。

例えば、どんなことが書かれているのかと言いますと、
本の感想は「人に話せれば書ける」のだとか。
面白いテレビ番組を見たら、友だちにそのことを話したくなりますよね?
齋藤さんによると、これが感想を人に伝えることの原点なんだとか。

また、「“なぜ”から始めるとスイスイ書ける」そうです。
なぜその本を選んだのか。
きっと必ず理由がありますよね?
私がこの本を選んだ理由は…から考えると書きやすいそうですよ。

といった感じで、具体的なアドバイスがたっぷり紹介されています。

合わせて「読書の魅力」も。
私も読書が好きなので、齋藤さんの思いに対し、
「わかりますー。私もそう思います!」
といちいち本にむかって心の中で反応してしまいました。

この本は、私のような読書好きの大人や
本を読んだほうがいいのはわかるけれど、実は苦手…という方や
思っていることを人にうまく伝えられないという方にもおすすめです。

ぜひご家族の皆さんで読んでみてください。

yukikotajima 11:29 am

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

2019年8月7日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介頂く本は、

先日、第161回直木賞を受賞した
大島真寿美(おおしま・ますみ)さんの
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(文藝春秋)』です。

タイトルの読み方は、
「うず いもせやま おんなていきん たまむすび」です。

奥野さんが本についてわかりやすく紹介していますので、
まずは コチラ をお読みください。

***

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この作品は、江戸中期の人形浄瑠璃作者、近松半二(ちかまつ・はんじ)
の生涯が描かれています。

人形浄瑠璃は、今では「文楽(ぶんらく)」と言われています。

本のタイトルは、まさに近松半二らが書いた伝説の大ヒット作のことです。
「半二ら」と書いたのは、半二をはじめ、複数の人間によって書かれたからです。

物語がどのようにうまれたのかが、生き生きとした文章で描かれています。
それも軽快な大阪弁の語りで。
私は大阪弁は喋れないけれど、言葉のリズムが心地よく、
本を読むのが楽しくてたまりませんでした。
それこそ声に出して読みたくなったほどです。

この小説を読んだ後、これは生で文楽を見てみたい!
と思って調べてみたところ、なんと今年5月に上演されていたそうです。

ああ、見たかった!

と同じように思っている方がきっと多いのだろうな。(笑)

直木賞受賞記念で再演しないかなー。

本のタイトルだけを見ると難しそうですが、
大変読みやすく面白い一冊でした。
また、浄瑠璃について学べたことも良かったです。

先週は「水墨画」を、今週は「浄瑠璃」を小説から学べました。

◎先週ご紹介した本は コチラ

あらためて小説は、私の世界を広げてくれるなあと実感!
さて、次はどんな本を読もうかしら。

yukikotajima 11:19 am