82年生まれ、キム・ジヨン
2019年2月13日
今、ある本が女性たちを中心に話題になっているそうです。
その本とは、韓国で100万部を突破し映画化も決まったベストセラー小説
『82年生まれ、キム・ジヨン/チョ・ナムジュ 訳:斎藤真理子(筑摩書房)』です。
先日、紀伊國屋書店富山店に行った時に
文芸担当の書店員さんに何かオススメの本はあるか聞いたところ、
教えて頂いたのが、この『82年生まれ、キム・ジヨン』でした。
韓国では、国会議員が「女性が平等な夢を見ることができる世界を作ってほしい」
と願ってムンジェイン大統領にプレゼントしたのだとか。
その一方で、この本を読んだと発言したアイドルが炎上するなど、
韓国では社会現象になったそうです。
その韓国で話題の小説が日本でも去年12月に発売され、日本でも話題になっています。
また、すでに発売された台湾でもベストセラーになり、
現在、ベトナム、英国、イタリア、フランス、スペインなど17か国で翻訳が決定しているそうで、
今や韓国だけでなく、世界的に話題になっています。
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『82年生まれ、キム・ジヨン』は、小説です。
タイトルの「キム・ジヨン」は、
韓国で82年生まれに最も多い名前なんだとか。
この小説は、彼女がこれまでの人生で
女性というだけで受けてきた困難や差別について描かれています。
例えば、年上の姉たちよりも男性というだけで弟が優遇されたり、
大学時代のサークルでは女性は会長にはなれなかったり。
また、就職活動では女性だけが苦戦。
優秀な女性は「女があんまり賢いと会社で持て余す」と言われてしまうし、
面接では女性だけセクハラ質問を受けます。
この本を読みながら泣けてきました。
これ、私も経験あるな、というエピソードが数多くあって。
セクハラ質問は、私も就職活動中にありました。
結局その会社は落ちましたが、落ちてほっとしたほどです。
キム・ジヨンが受けた差別は、就職した後も続きます。
また、差別に負けないように必死に働く一方で、
それが本当に正しいのか、とも思います。
例えば、妊娠中に与えられた権利を彼女は拒否してしまったことで、
女性の後輩の権利を奪ったかもしれないと気付きます。
その後も、結婚、出産、育児と頑張り続ける彼女でしたが、ある日、おかしなことを言いだします。
そして、精神科に通い始め…。
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この小説は韓国の女性の物語ですが、
韓国だけでなく、世界中の女性たちから共感を得ています。
でも、この本を男性にこそ読んで頂きたいと私は思います。
もしかしたら、なんでこんなに辛いと思うの?とか、これの何がおかしいの?
と何も感じない男性もいるかもしれません。
でも、中には女性の辛さを理解してくれる男性もいるはずです。
全員が理解をするのは難しいかもしれないけれど、
でも、この一冊から世の中が変わり始めているのは確かなことです。
ぜひお読みください。