常設展示室
2018年12月19日
今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
原田マハさんの新作『常設展示室—Permanent Collection—』
をご紹介いただきます。
★奥野さんの推薦文は コチラ
私も読みましたので、軽く感想を。
原田さんと言いますと『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』などの
アート小説でおなじみですが、今作もアート小説です。
人生の岐路に立つ6人の女性たちが世界各地の美術館で
一枚の絵画と出合うという短編集です。
その絵画の中に東山魁夷の『道』がありました。
私は、先月、東京に行ったときに
国立新美術館で行われていた
『生誕110年 東山魁夷展』で『道』を見たばかりだったので、
興奮気味に本のページをめくってしまいました。
登場人物たちが『道』について語り合っている時、
私も絵の前に一緒にいる感覚でした。
実際『道』を見た時、作品の前からしばらく動けませんでした。
ああ、なんて無駄のない美しさだと。
そして、眺めているうちに心が澄み切って、前向きな気持ちになれました。
本当に素敵な一枚でした。
この『道』にまつわる原田さんの短編もいいお話で、
この短編を読んだことで『道』がさらに好きになりました。
今回は短編集ということで、どれも短い作品ですが、
でもしっかり心に残る作品集でした。
6編それぞれが、常設展示室に飾られた作品のようでした。
そして、原田さんのアート作品を読むと、
原田さんのアート愛が強すぎるため(笑)しっかり感化され、
小説に登場した絵画を見に行きたくなるのです。
年内にどこかの美術館の、それも常設展を見に行きたいな。