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火のないところに煙は

2018年8月8日

ここ数日はそれほど暑くないですが、
この夏はとにかく暑いですよね。

暑い夏を涼しく過ごす方法は色々ありますが、
怪談も涼しくさせてくれますよね。

夏の夜、こわい話を読んだり、ホラー映画を見たり
時には、肝試しをしたり…。

今日ご紹介する本は、今話題になっている小説
芦沢央(あしざわ・よう)さんの
『火のないところに煙は(新潮社)』です。

芦沢さんというと、以前、『バック・ステージ』をご紹介しました。

◎私の感想は コチラ

『バック・ステージ』は、本のカバーをめくると
「お楽しみ掌編」が収録されており、
本を読み終えた後にも楽しみが待っていましたが、
今回は本の裏表紙に仕掛けがありました。

本を読んだ方だけが楽しめるものです。
是非ルーペをご用意してお楽しみください。

今回の作品は、そういった演出のほか、
作品そのものがこれはどういうことなの?
と思わずにはいられない内容になっています。

最初からエッセイなのかフィクションなのか
わからないスタイルで話が進んでいきます。

話は芦沢さんらしき作家さんのもとに、
東京の神楽坂を舞台に怪談を書かないか、
という依頼がくるところから始まります。

ある理由からできれば断りたいと思ったものの、
結局、怪談を書くことなります。

『火のないところに煙は』は、6つの話が収録された連作短編集です。
それぞれ人から聞いた話で構成されています。

ただ、最初のお話だけは作家の友人の話であり、
作家自身も少し関係しています。

ある日、大学時代の友人から、お祓いのできる人はいないか相談されます。

というのも、友人カップルが、
ある占い師から「結婚をすると不幸になる」と言われ、
本当に不幸になってしまったそうなのです。

悩みを聞いているだけの作家自身でしたが、
彼女も不思議な現象を目にすることになります。。。

その瞬間の怖さといったら…
是非本のページをめくって味わってください。

他には、

・狛犬の祟りに怯える女性

・起きてもいないことをまるで見たかのように話す隣の家に住む女性

・ある家に住むようになってから恐ろしい夢を見るようになった女性

・一人暮らしを始めたアパートで怖い体験をした大学生

の話などが収録されています。

そのどれもが、フィクションというよりも
まるで実話のように書かれています。

だから、こわい!

また、芦沢央さんは新ミステリの女王と言われている作家さんです。
怪談としての怖さもありますが、ミステリ小説としての面白さもあり
最後までゾクゾクさせられました。

ネタバレになるので、あまり具体的なことが言えないのが残念なのですが、
怖いのはもちろん、とにかく面白かったです。

私は、夜に本を読むことが多いのですが、
この本は、あえて午前中に読みました。
それでも、突然音が聞こえたりすると
うわあーっ!!といちいち驚いていました。
さらに、夜お風呂に入る時も寝る時もいちいちビクビク…。

より怖さを感じたい方は静かな夜中にお読みください。
きっとかなり涼しい夜を過ごせると思いますよ。

私はしばらく夜にはこの作品を思い出してしまいそうです…。

yukikotajima 12:16 pm