「ハリネズミの願い」「きげんのいいリス」
2018年5月23日
本屋大賞受賞作は毎年注目されていますが、
本屋大賞には翻訳小説部門があります。
去年の翻訳小説部門で大賞を受賞したのが
『ハリネズミの願い』
でした。
本の装丁がまるで絵本のような、可愛らしい本です。
主人公は、自分に自信がない臆病で孤独なハリネズミです。
このハリネズミ君は、
家に友だちを招待したいと思いながらも
動物たちが家に来たときのことを想像して
きっと招待することは迷惑に違いないと悪い方に考え
落ち込んでばかりです。
友だちがほしいと思う一方で、やはりいらないと思ったり。
悪い妄想をして、ひとり(いや、一匹?)落ち込む様は、
マイナス思考に取りつかれた時の自分のようでもあり、
他人事ではありませんでした。
この本を書かれたのは、オランダの人気作家トーン・テレヘンさんです。
今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、
そのトーン・テレヘンさんの別の作品
『きげんのいいリス』
です。
◎奥野さんの推薦文は コチラ
こちらは『ハリネズミの願い』の原点となる作品です。
ハリネズミも出てきますが、今回はリスが主人公です。
仲良しのアリをはじめ様々な動物との交流や
それぞれの動物たちの悩みなどが描かれています。
主人公のリスは心優しく穏やかな性格なのですが、
仲良しのアリは知っていることが多すぎて頭が重いことが悩みです。
また、ライオンは自分自身の存在がこわくなってしまうし、
タコは自分が変なのでは?と気にしてばかりです。
たとえば…
・自分自身の存在や吠える様が怖いと思ってしまったライオンは、
鳴き声をチューチューかブンブンに変えようかとリスに相談します。
・ある風の強い日にゾウは鼻を飛ばされてしまい、
自分の鼻を探しに行くことになります。
など不思議な物語もあるのですが、
トータルで大変面白かったです。
動物たちの物語ではありますが、
まるで人間たちの物語のようでもありました。
ひとつひとつの作品は大変短いので、
大人の方が毎晩少しずつ読み進めてもいいと思いますが、
お子さんに読み聞かせてみるのもいいかもしれません。
また、本の装丁がかわいいので、
お部屋に飾っておくだけでも癒されそうです。