デートクレンジング
2018年5月16日
あなたには今、好きなアイドルはいますか?
あるいは、過去にいましたか?
ライブやイベントに行くのはもちろん、
テレビや雑誌、SNSをチェックしたり、
中にはスクラップブックを作ったことのある方もいらっしゃるのでは?
私は中高生の頃、ジャニーズにはまりました。
お気に入りのアイドルが出演しているテレビはすべてチェックし、
ライブにも行き、雑誌ももちろん買っていました。
ほんと夢中でしたね〜。
私が10代の頃は、どちらかというと
女性は男性アイドルに男性は女性アイドルにはまることが多かったのですが、
最近は、女性が女性アイドルにはまる、ということが増えているのだとか。
たしかに友人の20代の女性も
男性ではなく女性アイドルにはまっています。
前に、どんなところがいいのか聞いたところ
「とにかくかわいくて応援したくなる!」
と興奮気味に話していました。
この本を読んでいたら、その友人のことを思い出しました。
なぜなら、登場人物の女性とまったく同じことを言っていたからです。
前置きが長くなりましたが、
今日紹介する本は柚木麻子さんの『デートクレンジング(祥伝社)』です。
この本にも女性アイドルが大好きな女性が出てきます。
この物語は、一言でいうと35歳の女性たちの友情物語です。
主人公は、義母の喫茶店で働く佐知子。
義母との関係は良好で、現在、妊活中です。
そんな佐知子の親友が、アイドルグループのマネージャーをしている実花です。
実花はもともと女性アイドルのファンで、
実花いわく「応援したくなる魅力を持った人はみんなアイドル」なんだとか。
また「時間を止めることのできる人」も。
例えば、ライブを見ているとき、
世界にはアイドルと自分しかいないような気分になる、と。
それ、わかる気がします。
本当に心を奪われたときって、他が見えなくなりますよね。
そんなアイドル好きの実花は、
結局、人気アイドルのマネージャーになります。
アイドル名は「デートクレンジング」。
デートクレンズとは、アメリカの造語で
女の人はデートをしない時期を意識的に作ろうという意味なのだとか。
このグループ名には、
男性に評価されてではなく、自分らしくいることで幸せになろうよ!
という実花の思いが込められています。
そして、実花は10年間このグループを支え続けてきたのですが、
ある事件がきっかけで、グループは解散に追い込まれてしまいます。
これまで仕事一筋、というかアイドル一筋で生きてきた実花でしたが、
突然何かに追い立てられるように「婚活」を始めます。
そんな実花の姿に佐知子は違和感を覚え、
これまで仲の良かった二人の関係はぎこちなくなり…
さて、このあと二人はどうなってしまうのか。
続きは本のページをめくってみてください。
***
この本には、それぞれの立場の女性たちの本音が詰まっていて、
読みながら、あまりにもリアルな会話に、心の中をのぞかれた気分になりました。
女性は、仕事、結婚、妊娠、出産など新しいステージに進むたびに
友人たちとの関係が少しずつ変わっていきます。
どんなに仲が良くても同じステージにいないとやはりどこか距離が出来てしまいます。
だからといって、じゃあもう友達はやめるの?かといったら、
そういうわけでもないのですが。
そして、女性はどのステージでも悩んでいます。
結婚をしたい女性もいれば、
結婚できても、今度はこどもができなくて妊活する人もいます。
また、こどもができても、保育園探しや仕事探しに追われ…
と悩みが尽きません。
そんな様々な女性たちの心の変化や本音が満載の一冊でした。
と同時にアイドル愛にもあふれていました。
実際、著者の柚木さんはアイドル好きらしいですよ!
女性の皆さんもアイドル好きの皆さんもぜひ読んでみてください。
あ、あと男性も。女性がどんなことに悩んでいるのか、ぜひのぞいてみて〜。