ツタよ、ツタ
2016年11月30日
一行目から心をギュッとつかまれる本があります。
文字を追いながら
気持ちがどんどんたかぶっていく
あの感覚。
ああ、読書ってどうしてこんなに楽しいのかしら!
と思わずにはいられない瞬間です。
またしても、そんな本に出合ってしまいました。
『ツタよ、ツタ/大島真寿美(実業之日本社)』
大島真寿美さんは『ピエタ』で話題になった作家さんです。
以前ラジオでも紹介しています。
★ ピエタの私の感想は コチラ
5年前も私、絶賛してますね。(笑)
前回も声に出して読みたくなる、と言っていますが、
今回も同じことを思いました。
なんといっても言葉のリズムがいいのです。
短い言葉をぽんぽん重ねていったかと思えば、
続く文章は流れるような落ち着いたものだったりして。
まるで心地いい音楽を聴いているかのようでした。
もちろん表現も美しいです。
日本語はこんなに豊かだったのか、
と思えてなりませんでした。
独特な表現もあるものの、
イメージできないどころか、その逆で、
鮮やかな映像を頭の中に浮かべることができました。
この感覚は、ぜひ本のページをめくりながら実感していただきたい!
もちろん好みはあると思いますが、
私は好きなタイプの本でした。
***
『ツタよ、ツタ』
という変わったタイトルの物語の内容にも少し触れておきましょう。
ツタというのは、明治の終わりに沖縄で生まれた幻の女流作家のことです。
つまり名前です。
実在の人物がモチーフになっています。
ツタは型や常識よりも自分の感覚を信じていたため、他人とよく衝突していました。
適当に流すことができないのです。
嫌なものは嫌だし、違うことは違うということを
表に出さずにはいられませんでした。
また彼女自身、自分の心のうちにあるものを制御できずにいました。
時々、頭の中がうるさすぎてどうにかなりそうになるほどです。
そんなある日、
それを言葉にする、つまり「書く」ことで
自分を解き放つことができると知り、
ツタは作家を目指すことにします。
名前も「ツタ」から「千紗子」に変えて。
そしてついに作家デビューすることになり…。
という物語です、
この続きは、本を読んでね。
***
ツタという女性は大変正直な人です。
そして激しい。
また、繊細でもあります。
たぶん、色々なことが気になってしまうのだと思います。
確かに、人は黙っていてもずっと頭の中には言葉が浮かんでいますよね。
寒いなとか、お腹へったなとか。(笑)
普通の人はそんなどうでもいい言葉がずっと続いていくのだと思いますが、
ツタは違います。
次々にこれはどういうことだろう?と深いところまで考え出してしまうのです。
だからこそツタにとって「書く」ことは特別でした。
もし、今の自分は何かしっくりこない、という方は、
ツタのように自分の思いを書き出してみてもいいかもしれません。
また、新たな名を持つことも気分が変わっていいかも。
でも、その名前をどこで使えばいいの?と思った方は、
ラジオにメッセージを送ってみるのはいかがでしょう?
誰もがそう簡単に作家にはなれないけれど、
ラジオネームを考えて自分の思いをラジオに送ることなら、どうかしら?
それなら、できそうかも…って思いません?
今日のgraceもあなたからのメッセージをお待ちしています!
放送は今日のこのあと13時30分からです。
★ graceのサイトは コチラ
最後は番宣のようになってしまったけれど(笑)、
作品は本当によかったです!
何かいい本はないかしら?とお探しの方、是非読んでみて下さい。