ブラック・ヴィーナス 投資の女神
2016年3月23日
今日は、宝島社が主催する新人賞
『このミステリーがすごい!』大賞 の第14回大賞受賞作品、
城山真一(しろやま・しんいち)さんの『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』
をご紹介します。
これまで 『このミス』大賞 を受賞した作品はどれも注目を浴びており、
特に『四日間の奇蹟』(浅倉卓弥)、
『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊)などは
いずれも映像化され話題となりました。
今回の大賞作『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』も選考委員から
「たいへんリーダビリティが高く、あっという間に読める金融もの。
ヒロインのキャラ立ちも抜群」
「個性的なキャラクターの登場、ドラマづくりのうまさなど、
小説としての完成度が高く、最後まで楽しめた」
と絶賛されました。
たぶん、この作品もいずれドラマ化されるように思います。
登場人物が皆、個性派というのもありますが、とにかく面白いのです!
テンポがよいので、映像化されたらきっと爽快なやりとりになるだろうな
と想像しただけでニヤニヤしてきます。
ちなみに、著者の城山さんは石川県出身、金沢在住で、
今回の作品も金沢が舞台となっています。
また、金沢だけでなく富山の会社や北陸新幹線といった
富山の方にとってもなじみの場所がたくさん出てくるので、
そういう意味でも楽しめます。
***
『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』の内容も簡単に触れておきましょう。
本のタイトルの「ブラックヴィーナス」は、
依頼人のもっとも大切なものを報酬に
返済不要の大金を用意する株取引の天才、
その名も黒女神のことです。
黒の服を着て、プラチナブロンドに染めたショートボブという
まるでフィギュアのような風貌です。
そんな彼女の助手を務めるのが、
あこがれのメガバンクに就職したものの
失望して退職した元・銀行員の男性です。
黒女神のもとには、借金に苦しむ老舗和菓子屋の社長や
死亡した人気歌手の娘の死因を隠そうとする父親など、
様々な事情を抱えた人たちから依頼がきます。
そんな中、黒女神を追う人物が
助手である元銀行員の前に現れ、彼は戸惑います。
いったい彼女は何者なのか。
そもそもなぜ追われているのか。
彼女が何者なのかについては徐々に明らかになっていくのですが、
前半と後半では、別の物語といってもいいくらいに空気ががらりと変わります。
また、舞台も金沢から富山が中心の物語へと変わります。
さて、お話はどう展開していくのでしょう?
詳しくは、本を読んでみてね♪
***
とても面白い作品で、一気に読んでしまいました。
でも、株で簡単に大金をもたらすなんて現実味がない…
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
この物語はとても現実的です。
黒女神がお金を用意する条件が
自分のもっとも大切なものを差し出すことなのですが、
このやりとりがとても面白いのです。
人はなかなか自分の大切なものを言わないのですね。
隠そうとする、というか、心の中のことだからばれるはずがないと思うのです。
でも、黒女神にはすべてお見通しです。
黒女神を前にしたとき、人は嘘がつけなくなるのです。
株取引の天才というと、数字しか見ていないように思いますが、
彼女は「人の思いが株価を動かしている」と言います。
実は誰よりも人の心に敏感なのです。
きっと私も彼女を前にしたら嘘はつけないと思います。
というか、彼女から株を習いたい!(笑)
お金を通じて人の心を描き出す、北陸が舞台の経済サスペンス
『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』
をあなたも読んでみませんか?
あ、でも読むのは時間がある時にしたほうがいいです。
一気に読みたくなってしまいますので。