羊と鋼の森
2015年11月11日
とてもいい本を読みました。
この本は、中身を紹介するより、
タイトルと著者の名前を覚えてもらうために、
この2つだけを何度もリピートして書きつづけたほうが
逆にインパクトがあっていいんじゃないか?(笑)
と思ってしまったくらい皆さんに知っていただきたい本です。
その本とは、
宮下奈都(みやした・なつ)さんの
『羊と鋼の森(ひつじとはがねのもり)/文藝春秋』
です。
タイトル、覚えにくいですよね。
でも、覚えてください!(笑)
宮下さんのお名前も。
文藝春秋から9月に出たばかりですので、
本屋さんに行けば、わりと目立つところに置いてあると思います。
***
さて、『羊と鋼の森』というタイトルだけで、
何の話か想像つく方はいらっしゃいますか?
実はこれ、ピアノのことなのです。
ピアノは羊の毛のフェルトでできたハンマーで弦を叩くと音がなります。
だから『羊と鋼の森』です。
主人公は、若い青年です。
彼は高校生の時に、偶然ピアノの調律を目にし耳にし、
ピアノの調律の虜になります。
とはいえ、ピアノも弾けないし、音感がいいわけでもありません。
でも、ピアノの調律師になるべく専門学校に行き、
調律師として楽器店に就職します。
そんな彼が職場の先輩やお客様から様々なことを学び成長していく様が描かれています。
新入社員の皆さんに是非読んでいただきたい1冊です。
いや、今の訂正!
この本は、一人でも多くの方に読んでいただきたいな。
仕事をする上で大切なことに気付かされるはずです。
主人公の彼は決してセンスがあるわけではありません。
でも、謙虚で真摯です。
仕事には真面目に取り組みます。
できないからこそ、毎日練習します。
そう。若いうちはできないのが当たり前なんですよ。
できる人ばかりじゃない。できないからこそ、努力するのですよね。
でも、頑張っている主人公の彼も、
自分が調律したピアノの音色に納得されなかったお客様から
担当を変えてほしいと言われてしまいます。
頑張っているだけに辛いですよね…。私も若かりし頃の自分と重ね、涙。
でも、そのあとの彼の対応や先輩たちのフォローが素晴らしくて、また、涙。
ピアノの調律は感覚的です。
たとえば、「やわらかい音」といってもその感覚は人それぞれです。
でも、お客様の求めるやわらかい音にしなければいけません。
自分で思うやわらかさとお客様の思うやわらかさが同じであるとは限りません。
マニュアル通りには絶対にいかない、奥深く難しい仕事です。
結構自分、頑張ってるのになあ…
なんでうまくいかないのかなあ。
何が足りないんだろう。
どうしたらいいんだろう。
と思うこと、ありませんか?
そんな時、もういやだー!とヤケになってしまったり、
逆にとことん落ち込んだりしてしまいがちですが、
心が下向きになった時は、この本のページを開いてみて下さい。
きっときっとあなたの心を軽くしてくれる言葉と出合えると思います。
私は、この本をそばに置いて、今後もずっと読み続けていきたいと思いました。
迷った時、悩んだとき、森に行きたいなと。
あなたもまずは一度、羊と鋼の森におでかけになってみては?