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武道館

2015年6月24日

突然ですが質問です。

あなたはアイドルはお好きですか?

今まさにあるアイドルに夢中という方、
学生時代よくコンサートに行っていた方、
中には子どもの頃の夢がアイドルだった方もいらっしゃるかもしれません。

私が学生の頃は、アイドルを目指していた友だちは
私のまわりにはいなかったのですが、
以前、母校の大学のゼミの先生に話を聞いたところ
「田島の時代はマスコミの仕事といったら
 アナウンサーになりたい学生が多かったけれど、
 今は『アイドルになりたい』と言う女子もいるんだよ」
と言われ、時代も変わったなあと思いました。

今やすっかりアイドルブームですものね。

今日ご紹介する本は、そんなアイドルが主人公の小説、

朝井リョウ さんの新作 『武道館』 です。

朝井リョウさんと言いますと、
2009年のデビュー作の『桐島、部活やめるってよ』が映画化されたり、
2013年に『何者』で、戦後最年少で直木賞を受賞されるなど、
若いころから注目を浴びてきた作家さんです。

今回の『武道館』で10作目だそうですが、年齢は現在26歳!
まだまだ若い!!

朝井さん自身、アイドル好きで、
特にテレビ番組の『ASAYAN』はよくご覧になっていたそうで、
この物語も「モーニング娘。」のことも意識してお書きになったのだとか。

***

朝井リョウさんの『武道館』について、
どんなお話なのか簡単にご紹介しましょう。

主人公は、アイドルグループ「NEXT YOU」のメンバーの1人、愛子。

「NEXT YOU」は小説のタイトル通り、武道館でのライブを目指し活動しています。

愛子はアイドルをしながら高校にも通っています。

そう、普通の高校生なんです。

でも、アイドルです。

アイドルというだけで恋愛が禁止だったり、
ネット上で悪口を書かれたりする。

今の時代のアイドルたちは本当に大変です。

昔だったら噂はテレビのワイドショーや週刊誌くらいだったのに、
SNSの登場により、あっという間に噂が広まり、
悪口もネットに書かれ放題です。

知名度が上がれば上がるほど、アンチも増え、たたかれることも多くなります。

私はアイドルではないですが、同じような経験はあります。

田島はそういうの気にしないでしょ?
って思われるかもしれませんが、いや、さすがに落ち込みますよ。
こわさを感じることもあります。
なんでここまで言われなきゃいけないんだろう…
そんなに私のことが嫌いなのか、と悲しくなったこともあります。

私ですらそうなのですから人気アイドルの皆さんは、
もっともっと辛い思いをされているはずで。

すごい精神力ですよ!

朝井リョウさんの小説『武道館』は、アイドルの物語だけど、
ふわふわしたものでなく、とても現実的なお話でした。

共感も多かったです。

今は何でも無料で見たり聞いたり情報を得ることができたりする時代だけど、
それじゃダメなんだよなって改めて思いました。

この本にも書かれていましたが、
無料のものってすぐに捨てることができちゃうんですよね。
逆にお金を出して買ったものって、やはり大切にするんですよね。

また、あふれた情報の中から
自分にとって本当に必要な情報、正しい情報を選ぶことのできる力
を持つことも必要だなあと実感しました。

ネットのよくわからない情報に振り回されるのではなく。

また、あふれすぎる情報のせいで、情報の取捨選択だけでなく、
自分の本当の気持ち、欲がわからなくなっている方も多いんじゃないかしら?

この本では「怒れるかどうか」が基準になっていました。
本当に好きなことなら、怒れると。

あなたは、自分の心に正直になれてますか?
あなたが好きだと思っているものは、あなたが本当に心から好きなものですか?
情報に振り回されていませんか?

『武道館』は、とっても正直な物語でした。

最近、自分の気持ちが見えなくなっている方は、
この本を読むことで、何かヒントが得られるかも。

yukikotajima 10:56 am

理系の話大全

2015年6月17日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の白山さんからご紹介いただくのはコチラ。

『誰もがその先を聞きたくなる理系の話大全
 /話題の達人倶楽部・編(青春出版社)』

です。

 紀伊國屋書店富山店の白山さんの紹介文は コチラ

理系のお話かあ。
文系の私には難しそうなだなあ・・・
とタイトルを見た瞬間思った方もいらっしゃるかもしれません。

私もそうでした。

でも、ぱらぱらとめくってみたら、
言葉は聞いたことはあるし、
もちろんどんなものなのか知っているけれど、
その仕組みや理由を聞かれたらわからないものがたくさん載っていまして、
早速気になって読んでみました。

正直、難しい話題もありましたが、
(いや、正確には「私には難しい」と言った方がいいかな)
たとえを用いながらわかりやすい表現で書かれているので、
全体的には読みやすかったです。

たとえば・・・

・宇宙人はいるか聞かれたらどう答えるべき?

・イルカはどこまで言葉がわかるのか?

・なぜ録音した声は、いつもの自分の声と違うのか?

などです。

今週末は父の日ですね。

お子さんたちからの様々な質問に答えられる
なんでも知っているかっこいいパパでいるために、
この本を買って読んでみるというのもいいかも〜。

yukikotajima 11:00 am

モダン/原田マハ

2015年6月10日

今日ご紹介するのは、
『楽園のカンヴァス』をはじめとした
美術小説でおなじみの原田マハさんの新作です。

原田さんは、美術館のキュレーターもしていた美術のプロです。

これまでに
『楽園のカンヴァス』
『ジヴェルニーの食卓』
『太陽の棘』
といった美術小説を発表しています。

私は『楽園のカンヴァス』を読んで以来、原田さんのファンになりました。
ラジオでもこれまでたくさんの原田さんの作品をご紹介してまいりました。

でも、私は美術は詳しくありません。
どちらかというと苦手で、美術館に行ってもどう楽しんでいいのかわからず、
「順路」と書かれた案内に従って作品をただ目にするだけでした。
知識が無さ過ぎて逆に美術館に行くのが申し訳なかったほどです。

それこそ、知らない言語の本を目にしているのと一緒です。
全く理解ができないという点で。

でも、原田マハさんの作品を読んでからは、少し意識が変わりました。
絵は読書のようだなあと。
絵は見るというより、読む感覚に近いのかもなあと思いました。

その絵が描かれた理由は?
いつどんな時代に描かれたのか?
この絵の素晴らしい点は?

そういった絵に関する情報を知れば知るほど、
絵の輝きが増していくのが感じられました。

不思議なものです。
そこにある絵は、まったく変化していないのに。
見る側の気持ち次第で、見え方が変わってくるのですから。

原田さんの美術小説から、
美術館は退屈な場所ではなく、
心ときめく場所であることを教わりました。

***

今回の原田さんの新作も「美術館」が舞台となっています。

タイトルは『モダン』。

ニューヨークにあるモダン・アートの王国、
MoMA(ニューヨーク近代美術館)にまつわる
5つの物語が収録されています。

もちろんMoMAに展示されている絵画も登場します。

たとえば、
アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」、
ピカソの「アヴィニョンの娘たち」や「ゲルニカ」、
この本の表紙にも使われている「鏡の前の少女」、
マティスの「浴女と亀」、「マグノリアのある静物」
など。

これらの絵のタイトルを見ても、正直わからない…
なんか難しそうだなあと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、
そんなことないですよー!

文章がわかりやすいので、美術に疎い私が読んでも楽しめました!

ちなみに、原田さんは、以前MoMAに勤務していたこともあるそうで、
ちょっとしたエピソードもとてもリアルです。
もしかしたら原田さんご自身の体験も混じっているのかもしれません。

私が原田さんの作品を好きな理由は、
美術に対する愛を感じることと、
美術の知識を上から目線で述べていないことです。

これくらい知っていて当然よね?という文章に出合ってしまうと、
その途端、読む気が失せてしまうのですが、
原田さんの文章には、そういった驕りがありません。

って、私こそ何様ですね・・・すみません!

何かを心から愛して、尊敬している人の言葉は、とても心地いいものです。

原田さんからは、美術に関するあふれんばかりの愛が感じられます。
だから読んでいて気持ちいいのだと思います。

また、美術小説は、読みながら絵を学べることも楽しいです。
今回は美術館の裏側をたくさんのぞけました。

この本を読んだ人はきっと誰もがこう思うはず。
ニューヨーク近代美術館に行ってみたいなあ、と。

私も今一番行ってみたい場所になっています。

いつか本当に行くことになったら、その前にもう一度この本を読んでみよう。

原田さんの美術小説を読むたびに、
小中学校の図工や美術の教科書を原田さんが書けば、
きっと美術に興味をもつお子さんが増えるんじゃないかしら、と思ってしまいます。

もし私が子供の頃に原田さんの小説に出合っていたら、
美術の道にすすんでいたかもなー。

yukikotajima 11:10 am

ラプラスの魔女、アリスの謎解き

2015年6月3日

今日のキノコレは、紀伊國屋書店富山店 奥野晃英さん
に、2冊の本をご紹介いただきます。

まずは、奥野さんの推薦文をお読みください。

 推薦文は コチラ

***

私もいずれの本も読みましたので、軽く感想を。

まず、東野圭吾さんの新作『ラプラスの魔女』

この本の中には、あるブログが登場するのですが、
今の時代、こういうブログが多そうだなあと思いました。
どんなブログか気になる方は、是非本を読んでみて下さい。

それにしても、人の本性を見抜くのって難しいものですね。

私の周りの人を見てみると、
基本的には純粋でいい人が多いなあと思うのだけど、
中には、人を傷つけても心が痛むどころか、
自分のプライドが保たれることに喜びを感じている人も
たしかにいるなあと。

人と会話をするとき、できればそのままその人の言葉を信じたいと思うけれど、
信じちゃいけない人もいるのですよね。

その見極め、私にできるかなあ。

***

『アリスとキャロルのパズルランド 不思議の国の謎解きブック』

『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルは、数学者でもあったそうで、
まるで算数の問題集のようでもありました。

この本は、装丁だけを見ると、まるでお子さんの絵本のように見えますが、
私には、結構難しかったです。
どうしても正解したくてムキになって考えてしまいましたもの。

でも、童心にかえれて楽しかったです。

装丁が辞書や図鑑のようにしっかりしていますので、
文字の読めないお子さんは絵本として楽しんでいただけるでしょうし、
大人の方も、いい気分転換になるのでは?

私は思う存分楽しめました!

yukikotajima 11:54 am