影踏み鬼
2015年4月29日
今日ご紹介する本は、
葉室 麟(はむろ・りん)さんの
『影踏み鬼(かげふみおに)新撰組篠原泰之進日録(文藝春秋)』
です。
葉室 麟さんと言いますと、
『蜩ノ記(ひぐらしのき)』が直木賞を受賞し、映画化もされました。
本をお読みになったり、
映画をご覧になったりした方もいらっしゃるのでは?
『蜩ノ記』は、私も大好きな作品です。
『影踏み鬼』は、そんな葉室さんの今年1月に発売された時代小説、
それも新撰組の物語です。
近藤勇、土方歳三、沖田総司といった
よく知る新撰組のメンバーももちろん登場します。
でも、主人公ではありません。
この物語の主人公は、篠原泰之進(しのはら・たいのしん)です。
ご存知ですか?
伊東甲子太郎を慕って新撰組に入隊し、
後に赤報隊に身を投じた久留米脱藩隊士です。
東国ではなく久留米です。
新撰組というと東国の人たちの印象が強いですが、
九州出身で隊士になった人も結構いるのだとか。
そんな彼の眼を通じて見た、
新撰組の隆盛と凋落が描かれた時代小説です。
篠原泰之進は、たぶん女性からは好かれると思います。(笑)
おきてを破ったら切腹!
という色々厳しい新撰組の中でも、
篠原泰之進は自分らしさを貫いていきます。
たとえば、彼は新撰組に入ると約束した日よりだいぶ遅れてやってくるのです。
理由は女性に会っていたからです。
いや、正確には女性を守っていたのです。
普通だったら、そんな男は新撰組にはいらない、
それこそ、切腹だー!と言われてしまいそうですが、
彼は新撰組に入れます。
新撰組に入ってからの日々はというと、
もちろん、仕事はしっかりします。
なんといっても強いですから。
仕事はきっちりこなし、家族も守る。
でも、愛の伝え方は不器用。
そこがまた素敵なのですが。(笑)
ね?女性が好きそうでしょ?
敵味方がころころ変わっていく時代の中で、
彼は、ぶれずに自分にとって大事なものを大切にしながら生きていきます。
『影踏み鬼』は、泰之進が新撰組に入ってからの日々を中心に描かれています。
泰之進には、新撰組はどのように見えたのか?
ぜひあなたものぞいてみて下さい!
***
新撰組ファンの方はもちろん、
GW中に、何か本を読んでみたいなあという方も是非!
また、この本を読むと、他の新撰組の本も読みたくなるかも。
私は以前、NHK大河ドラマの『新撰組!』を見たときに、新撰組にはまり、
色々小説を読んだのですが、あらためて読んでみたくなりました。
最後に、かなり個人的な感想ですが、
この本には、大河ドラマではオダギリジョーさんが演じていた
齋藤一もたくさん登場するのですが、
この作品の齋藤一がオダギリジョーさんそのものの雰囲気で、
そういう意味でも楽しめました。(笑)
映画化されることがあれば、またオダギリジョーさんに演じていただきたいなあ。