『ねじまき片想い〜おもちゃプランナー・宝子の冒険〜』
2014年8月27日
今回ご紹介するのは、柚木麻子(ゆずき・あさこ)さんの新作
『ねじまき片想い〜おもちゃプランナー・宝子の冒険〜(東京創元社)』
です。
柚木麻子さんは、以前、ラジオでも紹介した『ランチのアッコちゃん』が
10万部を超えるベストセラーとなるほか、
これまでに2度、作品が直木賞候補になっている
話題の作家さんです。
★ 私の『ランチのアッコちゃん』の感想は コチラ
あらためて自分の過去の感想を読みながら、
お腹がぐうっと鳴ってしまいました。
『ランチの〜』もそうだけど、今回も美味しそうな食べ物が色々出てきます。
きっと柚木さんはいつも丁寧な食事を心がけているんじゃないかしら。
そうじゃなければ本を読みながらこんなにお腹が減ることはないもの。
あ、でも今回は食べ物のお話ではありません。
主人公は、浅草にあるおもちゃ会社の敏腕プランナーとして働く
富田宝子(とみた・たからこ)さん、28歳です。
敏腕プランナーなんて書くと肉食女子っぽいですが、
実は、好きな彼に5年も片想いをしているのです。
わかりやすすぎる態度のため、職場の仲間にもバレバレで、
仲間たちは宝子のはっきりしない態度にやきもきしています。
恋愛面では積極的になれない宝子ですが、仕事はできます。
彼を思う気持ちを原動力に次々にいい仕事をしていきます。
そして、仕事以外でもある活躍を見せます。
それは、彼を守ること。
なぜか彼は次から次へと災難に見舞われてしまうのです。
宝子はSP気分で密かに彼のトラブルを解決していきます。
もちろん本人には気づかれないように。
このあたりはとても漫画っぽいです。(笑)
それから、主人公以外の登場人物も個性派揃いでキャラが立っています。
ドラマ化されそうな匂いがプンプンしています。
そんな賑やかな物語、それが、
『ねじまき片想い〜おもちゃプランナー・宝子の冒険〜』です。
タイトルにもある通り、宝子はずっと片想いをしています。
誰が見てもわかりやすすぎる態度の宝子ですが、
好きな相手には残念ながら気付いてもらえません。
いつか彼に気付いてもらえるのでしょうか?
宝子の未来は?
***
この続きは是非、本を読んでみてください。
ちなみに、この本はただの恋愛物語ではありません。
自分探しの物語と言ってもいいかも。
また、お仕事小説としても楽しめます。
主人公の仕事を愛する気持ちがそこかしこに感じられます。
まあ、その原動力は彼を思う気持ちなのですが。(笑)
漫画を読んでいるかのような軽さがありつつも、
さらりと流れてしまうのではなく、
心にぺたっと貼りつくような言葉にも出合えます。
また、人知れず片想いに悩んでいる方は、
何かしらのヒントが得られるかもしれません。
なぜなら、この本には宝子以外にも片想い中の方が出てきますので。
せつない恋をしている方は、
夏の終わりに、この本を読んですっきりしてみるというのはいかがでしょう?
また、この夏何にもなかったー!
という方は、甘酸っぱい恋物語を疑似体験してみませんか?