恋歌(れんか)
2014年1月20日
読む本を決める基準は人それぞれだとは思いますが、
大きな賞を受賞した作品はとりあえず読んでおこうという方もいらっしゃるのでは?
先週の木曜日16日に、
第150回芥川・直木賞の選考会が開かれ、
芥川賞に小山田浩子さんの『穴』、
直木賞に朝井まかてさんの「『恋歌(れんか)/(講談社)』と
姫野カオルコさんの『昭和の犬(幻冬舎)』が選ばれました。
受賞作の中の『恋歌』は、紀伊國屋書店富山店の橋本さんから
とてもよかったのでぜひ!とすすめられ、すでに先週読んでおりました。
そして、これは選ばれそうだ!と思っていたらやはり選ばれました。
橋本さん、さすがです!
本を紹介するにあたり、ベストタイミングとなりました。
今週のユキコレでご紹介するのは、
朝井まかてさん の 『恋歌(れんか)』です。
※ユキコレは、1月22日(水)13時45分頃〜graceの中で放送します。
去年の夏に発売されていますし、
このたび直木賞を受賞されましたので
お読みになった方もいらっしゃるのでは?
そんな方はぜひ grace宛て に感想をお寄せください。
朝井さんは、受賞されたとき、
「まさかまさかまさか」
と「まさか」を3回連続でおっしゃり、話題になりました。
ニコニコの笑顔でピースサインで写真撮影をされている姿も印象的でしたよね。
きっととっても明るくまっすぐな方なのだと思います。
あの朝井さんの笑顔を見ながら、
本の主人公の歌子と雰囲気がかぶりました。
まっすぐでかわいい歌子に。
・・・
『恋歌(れんか)』は幕末の水戸を舞台に描かれた時代小説です。
主人公は、明治の歌人、中島歌子(なかじまうたこ)。樋口一葉の歌の師匠です。
中島歌子は、この時代には珍しく、
身分の違いをこえて恋を成就させました。
江戸の商家の娘である歌子は、天狗党の志士に嫁ぎ、水戸へ下ります。
思いが通じ合い幸せいっぱいの歌子でしたが、
実はこの時、壮絶で過酷な人生の扉を開けてしまったのでした。
水戸藩の内乱の激化にともない、
なんと、歌子は夫と引き離され、自らも投獄されてしまうのです。
いったい歌子の運命は?
というお話です。
このあと歌子がどんな人生を歩んでいったかについては
本を読んで、じっくりと味わってください。
・・・
この本には、今の世の中にこそ必要なことが書かれていました。
人間関係の悪化も国交の悪化も
たったひとつ、お互いがこれさえできれば、
一気に関係は修復すると思います。
人を憎むことは辛いことです。
でも、憎む以外の方法を見つけない限り、
ずっと何も変わらないのだと思います。
とっても単純なことです。
そんなことわかってるよ!と思うかもしれません。
でもね、頭でわかっていると、
心がちゃんと理解するのでは違います。
歌子がどんな人生を送り、最期にどんな決断を下したかを知れば、
きっとあなたの心が反応するはずです。
言葉がすうっと頭を通り抜けるのではなく、
大切なこととして心にとどまると思います。
あなたにもしどうしても許せない人がいるのなら、
その人を憎む時間をこの本を読む時間にあててみてください。
もしかしたら、あなたが欲しかった答えに出合えるかもしれません。
私は、この本に出合えて本当によかったです。
・・・
直木賞を受賞したから、という理由だけでなく、
本当にいい本ですので、ぜひお読みになってみて下さい。
美しい日本語や歌にも出合えますよ。
★ 講談社による『恋歌』の特集ページは コチラ