鴨川食堂
2014年1月1日
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!
元日の今日もgraceはいつも通り13時30分からお届けします。
さらに今日は豪華プレゼントもあります!
でもプレゼント情報はネット上には一切アップしません。
ラジオでしか言いませんので、どうぞお聴き逃しなく♪
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さて。
年末年始、いかがお過ごしですか?
久しぶりに実家の味、母の味を口にして
「そうそう、この味!ああ、懐かしいなあ」
と思わず笑みがこぼれてしまった方もいらっしゃるのでは?
その一方で、食べたくても、もうかなわない…という方もいらっしゃるかもしれません。
たとえば、天国のおばあちゃんの作ったあの煮物をもう一度食べたいなあとか、
昔大切な人と行ったお店の料理が食べたいけれど、すでにお店をたたんでしまっているとか。
そんな時、もし同じ味を再現してくれる方がいたら、素敵だと思いませんか?
実は、そんな食堂が京都にあるんです。
東本願寺の近くに「鴨川食堂」という看板の無い食堂が。
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でも、ごめんなさい。
あるのは小説の中だけなのですが。
今日ご紹介するのは、
小学館から1か月ほど前に出たばかりの
柏井壽(かしわい・ひさし)さんの小説
『鴨川食堂』
です。
食堂を切り盛りするのは、鴨川流(ながれ)と娘のこいしの親子二人。
なんとこの食堂では、もう一度食したい食べ物の味を
少ない手がかりから再現してくれるのです。
ただし、この店に辿り着くまでが大変です。
お店には看板がないのです。
でも、鴨川親子の言うことには、ご縁があれば辿り着けるのだそう。
そんな鴨川食堂では、初めての方にはおまかせを食べてもらっています。
京のおばんざいなのですが、それがどれも本当に美味しそうで、
本を読みながら、お腹がグーグーなり続けました。
そして、この食堂の奥には探偵事務所があります。
食事後、その事務所に移動し、さがしている食についての話を聞きます。
話を聞くのは娘のこいしですが、実際その料理をさがし、作るのは父の流です。
曖昧な思い出やキーワードから、食をみつけていくのですが、
流がいかにしてその料理をみつけたのかを披露しながら、最後に料理を出します。
その思い出の味と出合えたときのお客さんたちの表情がいいんです。
と言っても本ですから実際には見えてはいませんが、でも見えるのです。
どのエピソードも感動的で、私はずっと泣いておりました。
お腹をグーグー鳴らし、
ワーワー泣いて、
鼻をチーンとかんでと、
とにかく静かに読めない本でした。(笑)
でも、あたたかくいい本でした。
読み終えたときの優しさに包まれた充足感に浸りながら、
しばらく涙がひくのを待ち、もう一度最初から読みたくなりました。
じっくり1話ずつ読みたくなる作品です。
是非お読みになるときは、ゆっくりお読みください。
といってもいい本なので、ページをめくるスピードもはやくなってしまうのですが。
私は年の初めの1冊がこの本でよかったです。
今年は、丁寧に料理をしたり、
食事を味わったりしていこうと思えました。
とっても素敵な物語です。
あなたも年の初めの1冊にいかがでしょう?
この本を読んだ後、お母さんのご飯を食べたら、
きっと今まで以上に美味しく感じられると思いますよ。
感謝の気持ちが隠し味になって。
「鴨川食堂」、シリーズ化してくれないかしら。
柏井さん、よろしくお願いします!
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今年も素敵な本をブログ&ラジオでたくさん紹介していきますので、
よろしくお願いします。