今日ご紹介するのは、
この夏、『ホテルローヤル』で直木賞を受賞された
桜木紫乃(サクラギシノ)さんの新作
『蛇行する月(双葉社)』
北海道の某高校の図書部の仲間たちをはじめとした
女性たち6人の視点で綴られる連作集です。
高校卒業後の1984年から2009年までの日々が描かれます。
***
早速ストーリーをご紹介しましょう。
物語のキーパーソンは、図書部の順子です。
(彼女の名前は覚えておいてね)
最初の物語は、19歳の頃のお話。
主人公は清美。
図書部の仲間だった順子から久しぶりに、
「東京に逃げることにしたの」と電話がかかってきます。
なんと二十も年上の和菓子職人と駆け落ちすると言います。
その頃、仕事も恋愛も中途半端だった清美は、
彼女の電話により、人生が大きく動き出します…。
・・・
次のお話は、桃子のお話。
東京で暮らす順子から届いた年賀状の一言、
「わたし今、すごくしあわせ」
が気になり、会いに行くことに。
そんな彼女に負けまいとおしゃれをして会いに行ったものの、
駆け落ち後、こっそり東京の片隅で暮らす順子は、
よれよれのTシャツにそばかすだらけの肌で、
暮らしも決して豊かでないのがわかります。
でも、彼女は「しあわせ」だと言う。
・・・
彼女たちは全員、順子と関わることで、、
それまでの人生に変化が起きていきます。
と書くと、ファンタジー?なんて思われそうですが、
そうではありません。
とても現実的です。
ただ、物語は、順子の目線はありません。
順子に関わりのある女性6人の目線です。
だから順子の心の中はわかりません。
あくまでも彼女たち目線の彼女の様子が描かれています。
でも誰の目を通してみても、
順子の打算の無いひたむきさが伝わってきます。
ある友人は彼女のことを
「まっすぐって怖い」
と言います。
・・・
悩みや孤独を抱え、もがきながら生きる元部員たちは、
順子と関わることで何を感じ、どう変わっていくのでしょうか。
この本は特に女性におすすめです。
高校生から60代までの女性たちが登場するのですが、
きっと登場人物の中に自分に似た人がいるはずです。
同じような悩みを抱えている人がいるかもしれません。
もしかしたら、この本を読むことで、
あなた自身の運命が変わっていくかもあるかも!?
あなたには、この本はどのように響くでしょうか。
ぜひじっくり読んでみてください。
私は、最後は思いがけず泣きました。
どう選び、どう生きていくか。
あらためて考えさせられた物語でした。
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相変わらずの曖昧な本紹介ですみません。
でも、この気持ち悪さを味わっていただきたく、
本の感想を書いています。
で、どういうこと?
よくわからない。
と思ってもらえたらいいかなと。
なんかこの本気になる、
と思ってもらえるように感想を書いていますので、
もし「ああ、気になる。気持ち悪い」と思ってもらえたらうれしいです(笑)。
そんな方は、是非本を手に取り読んでみてくださいね。
188ページと短めの作品ですので、読みやすいと思います。