ジヴェルニーの食卓
2013年4月24日
もうすぐゴールデンウィークですね。
今年のご予定はお決まりですか?
まだという方は、アートを味わいにまずは書店へ行ってみて下さい。
え?書店?
と思いますよね。
ええ、書店です。
そこで1冊の本を買って、あとは読みたい場所で自由に本を読んでください。
きっとどこで読んでも、読書をしているその場所が、
あなたにとっての美術館になります。
いつものお家も、
お気に入りのカフェも、
ふらりと立ち寄った公園のベンチも、
本のページを開いた瞬間、美術館になります。
今日のユキコレ(『grace』内コーナー13:45頃〜オンエアー)
でご紹介するのは、「読む美術館」。
『ジヴェルニーの食卓/原田マハ(集英社)』
です。
原田さんご自身が、
「読む美術館」
というキャッチフレーズを決めたのだとか。
原田さんと言いますと、最近は、
アートミステリー『楽園のカンヴァス』
で注目を浴びました。
私も以前紹介しました。
◎感想はコチラ
私も今、久しぶりに1年前の自分の感想を読んでみましたが、
客観的に読んでみても、興奮が伝わってきます。(笑)
でも、今回も読後の気持ちは変わらないです。
今の私、鼻息荒いです!(笑)
それはなぜか?
だって、今回もとても面白かったんですもの!!
読み始めてすぐ、この本に終わりがあることが悲しくなってしまったほどです。
原田さんは、またなんていい作品をお書きになったのかしら。
と、それだけで泣きそうでした。
さて、新作『ジヴェルニーの食卓』は、
ドガ、セザンヌ、モネ、マティスの4人の画家たちを描いた短編集です。
画家たちか・・・。
私、絵のことはわからないから無理!
という方もいらっしゃるかもしれませんが、
この作品に関しては問題ありません。
私も絵のことはわかりません。
恥ずかしながら、さきほど挙げた4人の画家たちの名前を見て
頭にぱっと絵が浮かんだのは、モネの「睡蓮」くらいでした。
そんな知識の無い私が、なぜ画家たちの小説を楽しめたのか?
それは、小説そのものが面白かったからです。
また、今回は「ガイドBOOK」がついていたため、
作中の絵画や彫刻作品の写真を見ることができたことも大きいです。
より深く小説の世界に入れました。
本を読んでいるというより、
ひとつの作品が出来上がっていく過程を、
近くで見ているような感覚でした。
『ジヴェルニーの食卓』は、
それぞれの画家たちと関わった女性たちの目を通して描かれています。
つまり、この作品は史実に基づいたフィクションです。
画家を支えてきた女性たち
(家政婦、女性画家、画商の娘、画家の娘)
のお話は、どれも作品や画家への愛に満ちており、言葉が弾んでいます。
彼女たちは、画家を心から尊敬しています。
良くも悪くもわがままで、精神的にも金銭的にも不安定な画家を支えるのは
簡単なことではありません。
そういう意味では、やっと作品を認められたときの喜びは、
画家本人以上だったかもしれません。
なんとキラキラした喜びでしょう。
本を読みながら、彼女たちとともに喜びを味わっているうちに、
いつのまにか私も画家たちのファンになっていました。
そして、画家たちの絵に対する見方も変わりました。
生きる喜びを描き続けたマティス。
青空の下をアトリエとして光と影を描いたモネ。
彼らのほとばしる情熱が、絵を見た瞬間伝わってきました。
モネの「睡蓮」には、生命力が感じられました。
絵が生きていると思いました。
同じ絵なのに、本を読む前と読んだ後では、別の絵のように見えました。
そして、全ての作品を実際に見に行きたくなりました。
中でも一番、この目で見てみたいと思ったのは、
マティスの代表作、ヴァンスのロザリオ礼拝堂。
小説の一話目「うつくしい墓」を読んだら、
あなたもきっと訪れたくなると思います。
今日から節約して、旅資金を貯めようかしら。
・・・
美術に疎い私が、こんなに楽しめて、
さらに、アートに興味を持てるようになったのは、
原田さんのおかげです。
原田さーん、
もっともっと画家たちの小説を読んでみたいです。
いつか、また書いてくださいね。
・・・
今年のゴールデンウィーク。
あなたもぜひ「読む美術館」にお出かけになってみて下さい。
ちなみに、この贅沢な美術館の入館料は、1,400円です。
開館時間、休館日はありません。
お好きな時にどうぞ。