夢を売る男
2013年3月27日
私のブログをお読みのあなたは、
ご自身のブログはやっていらっしゃいますか?
「うん。毎日更新しているよー」という方へ。
もし、
「あなたのブログは面白いので、本にしてみませんか?」
という誘いが出版社からきたらどうしますか?
でも。
費用の一部は負担してほしいと言われたら・・・。
あなたは、本、出しますか?
***
今日のキノコレ(grace内コーナー13:45頃〜オンエアー)
で紀伊國屋書店富山店の白山さんにご紹介いただくのは、
某出版社の敏腕編集者のお話。
『永遠の0(ゼロ)』の百田尚樹(ひゃくた・なおき)さんの最新書き下ろし小説、
『夢を売る男』
です。
◎白山さんの紹介文はコチラ
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百田さんというと、今まで私は、
『永遠の0(ゼロ)』、『海賊とよばれた男』を読みました。
いずれも作品世界にどっぷりつかるような長編でしたが、
今回は、これらに比べるとさらりと短時間で読めました。
だからといって、読んだ後何も残らないかと言えば、そうじゃない。
とても面白かったです!
そして、私は好きです、この作品。
一番好きなのは、最後。
最後のページをめくった瞬間、キュンとしました。そして号泣。
文字を目で追うだけじゃなく、
ページをめくることも演出になっていたなんて。
そしてあの余白。
読んだ後もずっと余韻に浸り続けていきました。
余韻の分だけの余白なのかな。
おおっと、いけないいけない。これ以上はもう語りません。
ぜひあなたも最後まで本を読んで、
私が味わったこの感動を味わってみてね。
きっと男女関係なくキュンとくると思います。
でも、最初はちょっと我慢してね。
なぜなら、私は、慣れるまで不快この上なかったから。(笑)
だって、毒吐きまくりなんだもの、この小説。
でもね、結果的には大変面白かったです!
簡単にどんなお話なのかご紹介しましょう。
『夢を売る男』は、出版界が舞台のブラック・コメディです。
主人公は、某出版社に勤める敏腕編集者の牛河原勘治(うしがわら・かんじ)。
この出版社には、本の出版を夢見る人たちが大勢集まってきます。
自分の人生を本にしたい男性、
自らの子育て経験を本にしたい主婦など。
この本によると、
世界中のインターネットのブログで一番多く使われている言語は日本語で、
それはつまり、日本人は世界で一番自己表現したい民族ということになるのだとか。
皆が舞台に上がりたがり、観客は誰もいない状況です。
例えば。
ブログのアクセス数の多さを自慢し、俺はヒーローであり、文才があるとうぬぼれる。
そして、俺もいつか本が出せるのでは?なんて勘違いをしてしまう。
今、やばい。俺かも。
と思った方は気をつけて。
牛河原に狙われますよー。(笑)
私自身もブログをしているので、
本を読みながら耳の痛い話だらけでした。
だからと言って本を出したいとは思わないけれど。
だってプロの作家さんたちにはかなわないもの。
いい本をたくさん知っているからこそ、私には書けないと思う。
「いい文章」について牛河原は、
「読みやすくてわかりやすい文章」と言っています。
私もラジオやブログで表現するときに、大切にしていることです。
『夢を売る男』は、基本的には、
毒(というか本音)を吐きまくりの小説なのですが、
その中に、ドキリとさせられる言葉がたくさんあり、大変勉強になりました。
いくつか挙げてみます。
・やればできる、という言葉をつかっていいのは、
一度でも何かをやりとげた人間だけ。
・売れてる作家ほど、原稿をきっちり仕上げてくる。
など。
どうです?
甘くないでしょ?
軽快&爽快で面白い上に、学ぶことも多い。
だから読んでいて楽しい。
『夢を売る男』、本当に読んでよかった!