弱くても勝てます
2013年2月27日
今日のユキコレでご紹介するのは、去年9月に発売されて以来、
ひそかなブームとなっている本です。
その本とは、
『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー/高橋秀実(新潮社)』
です。
先日発表された「キノベス!」でも、30位にランクインされていました。
私は、野球は詳しくありません。
でも、ちゃんと理解できました。
そして、笑いました。
でも、この本は笑わせようとしている本では無いと思うのです。
だっていたって真面目ですもの。
だからこそ面白いのですが。
そして、笑いながらも、ほお、それも一理あるかも、とも思える。
この本には、東大合格者数1位の超進学校、
開成高校野球部のセオリーが描かれています。
開成高校野球部は、過去に東東京大会でベスト16まで勝ち進んだことがあります。
でも、彼らの練習環境は決して恵まれていません。
グランウド練習は、なんと週1回、それもたった3時間です。
また、雨が降れば週1回の練習もできなくなってしまう。
あとは、自主トレや室内練習をするのみ。
では、なぜ勝てるのか?
***
この本を読む前は、
「きっと頭を使った無駄の無いセオリーで、
鼻につく感じなのかもなー」
と思っていたのですが、読んでみると、なんか違う。
なぜなら、選手たちはハッキリ言って下手だから。
これで本当に勝てるのか?と疑ってしまうほど。
野球は決してうまくなさそうなのだけど、
ぼーっとしているわけではなく、
頭では色々考え、さらに自分たちが下手なこともわかっています。
例えば、
「エラーは開成の伝統ですから」
「運動神経がなくても、ないならないなりにやりようがある。
まるで哲学しているみたいで楽しい」
などと言う。
練習をしないことへの言い訳のようにも思える、選手たちの言葉たち。
でも、そうではない。
彼らは冷静に分析し、では自分には何ができるのか?を考えている。
また、皆野球が好きで楽しんでいます。
そんな彼らは皆どこかのんびりとしています。
でも、チームをまとめる監督は熱い!
そして監督の思いはちゃんと選手に伝わっています。
もし野球に人生をかけるほどたくさん練習をしている選手たちに同じことを言おうものなら、
ふざけんなよ!!
とキレられてしまいそうなのだけど、
開成高校野球部では、選手たちは納得しています。
例えば試合中に監督が選手に放った言葉を挙げてみましょう。
「ドサクサ、ドサクサ!」
「野球しようとするな!」
また、たとえ試合で勝ったとしても、開成らしくなけば、
「これじゃまるで強いチームじゃないか!」
と嘆く監督。(笑)
おもしろすぎます。
そろそろブログを読みながら、
「で、具体的にどうやって勝たせているのよ!」
と気になり始めた方もいらっしゃるかもしれませんね。(笑)
この本によると、
「守備より打撃、どさくさで大量点を取って打ち勝つべし!」
これが、開成高校野球部のセオリーなんだとか。
一番大切なのは「思い切り振る」こと。
思い切り振るとは?
大量点って?
その答えは、ぜひ本を読んでみてください。
***
勉強ができるからこそ、頭で考えてしまいがちだけど、
そんな彼らのことを理解した上での勝てるセオリー。
また、勝つことだけじゃなく、
彼らの人生、これからの生き方にもつながるセオリーです。
この本は、大人たちに人気があるのだとか。
それ、よくわかります。
この本から学ぶことは多くあります。
ずっと答えが出なかった問題の答えは、案外単純なものだった、
と気付かされるような、そんな読後感でした。
読んで損は無い1冊です。
軽いタッチの文章で量も多すぎずさらりと読めるので、
普段本をあまり読まない人にもオススメです。