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残り全部バケーション

2013年1月30日

今日のユキコレ(grace内コーナー13:45頃〜オンエアー)でご紹介するのは、
大人気作家、伊坂幸太郎さんの新作『残り全部バケーション』です。
nokorizenbubake-shon.jpg

本屋さんでこの本を手に取る方は、
伊坂さんファンの方がもちろん多いのでしょうが、
その他、タイトルに惹かれて思わず手を伸ばした方もいらっしゃるのでは?

特にちょっとお疲れ気味で、
ああ、休みたいー!
と思っている方にとっては、
魅力的な言葉として心に響くのではないでしょうか。

だって、

「残り全部バケーション」

ですよ!

開放感いっぱいのタイトルです。

このタイトルを読んだだけで、
すでにバケーション気分を味わえそうです。

が!

本を読んでみると、これがまた面白い。

日常を忘れて、本の世界に没頭できると思います。

まさに、本を読んでいる間は、バケーション気分が味わえます。

どんな内容なのか、少しご紹介しましょう。

『残り全部バケーション』は、
裏社会で働く『溝口』と『岡田』をめぐる五章からなる物語です。

性格も年齢も異なる2人を軸に、様々な人が登場し、物語を彩ります。

私も読んでみましたが、
一章を読んで、あることに気づきました。

読んだことがある、ということに。(笑)

調べてみたところ、以前ラジオ&ブログでご紹介していました。

ちなみに、一章のみ『Re-born はじまりの一歩』というアンソロジーに収録されていました。

◎私の過去の感想はコチラ
http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=1728

私は2年程前に読んでいたのですが、
短編とはいえ、印象的なお話だったので頭に残っていました。

それは、ある家族と1人の男によるドライブのお話でした。

夫の浮気が原因で離婚をする夫婦とその娘が、
ひょんなことから「家族離散前の思い出」として
ある見知らぬ男とドライブをするという内容です。

これだけでも非日常的な要素が詰まっていますが、
だからこそ、面白い。

さて、ドライブの結末は?

『残り全部バケーション』は、それぞれ独立しつつ、
つながりのある、五章からなる連作集です。

私は、一章だけは以前読んだことがありましたが、
二章以降は、話が続いていくので、
逆に、お話の続きがわかってよかったです! 

素敵な印象の岡田君に
憎めないけれど、めんどくささ全開の先輩、溝口。

最初は、2人の様子を遠くから眺めるだけの傍観者でいた私も、
最後は、2人の友人のような気持ちになっていました。

伊坂さんが、この本に関して、
こんなことをおっしゃっています。

「この小説を読んでいる間はいろんな嫌なことを忘れられますように」

と。

確かに忘れられました。
コミカルな世界感の中の思いもよらない展開に、
飽きることなく本の世界に没頭できました。

一方で、優しさも散りばめられていて、
あたたかな気持ちにもなりました。

そう、読んでいて気持ちいいのが伊坂ワールド。

心地いい音楽を聞いているかのような伊坂リズムを今回も満喫できました。

うん、満足!

yukikotajima 11:39 am