白き隣人
2012年10月31日
今日のユキコレ(13:45頃〜オンエアー)でご紹介する本は、
地元、富山ご出身の作家さん、石岡琉衣(いしおか・るい)さん
の10月20日に発売されたばかりの小説
『白き隣人』
です。
新潮社から出ています。
デビュー作『白馬に乗られた王子様』に続く2作目です。
ちなみに私はデビュー作も読んでいます。
◎私の感想はコチラを読んでね。
デビュー作は、コメディータッチの楽しいファンタジーでしたが、
最新作『白き隣人』は、ホラーサスペンスです。
著者の方のお名前を知らずに読んだとしたら、
私は、同じ方が書いているとは到底思わなかったと思います。
・・・
簡単にどんなお話なのかご紹介しましょう。
ひとり暮らしのフリーライターの女性の家に、
夜遅く、ある荷物が届きます。
その荷物というのが、
想像すらしたくないような、おぞましいものでした。
その後も何度も届けられる宅急便。
いったい誰がこんな嫌がらせをしているのか?
女性ライターは、過去の取材相手を中心に犯人捜しをしていきます。
一方。
まったく別のお話も同時に描かれていきます。
こちらは26歳の男性のお話。
この男性は、見た目はとても美しいのですが、
普通の人とは異なった捉え方をするため、会話がかみ合わず、
なかなか彼女もできません。
でも、合コンで出会った女性と意気投合します。
ついに恋人ができるか?
と思いきや、彼は彼女を拒もうとします。
なぜか?
・・・
宅急便が届けられるたびに恐怖が大きくなる一方のライターのお話の後には、
どこかほっこりする青年の恋のお話があって、
読み始めのころは、いったい、この違いすぎる話が、どのようにつながっていくんだろう?
と不思議で仕方ありませんでした。
しかし…
後半は、ページをめくるたび、
唾を飲み込みたくなるほどの不穏な空気が立ち込めていきます。
私は、読書に集中しすぎて、
ちょっとした物音が聞こえただけで、
体がびくっと反応してしまいました。
ですから、この本を読むときは、
電話の電源を切った方がいいかもしれません。
または、玄関のチャイムがなることの無い時間帯の方がいいかも。
だって、この本を読んでいる時に、
ピーンポーンと宅急便が届いたら、
きっとその荷物を開けるのがこわくなってしまうと思うから…。
とにかくドキドキしっぱなしです。
そして、最後まで読み終えたとき、気付きます。
ああ、あれもこれも伏線だったのか、と。
その時、また恐怖が一気に襲ってきます。
さあ、あなたはこれらたくさんの伏線に気付くかな?
・・・
話はかわって。
女性ライターが、年上の男性ライターから理不尽な扱いを受けたときの、
彼女の取った行動が素敵でした。
仕事をする上で、自分は何を重視するか?
嫌がらせを受けたとき、自分だったらどうするか?
悩みながらも彼女が出した答えに、私は学びました。
嫌がらせに負けない彼女がかっこよかったです。
そして改めて気付きました。
正論だけでは相手は納得しない。
でも、誠意は伝わる。
ということに。
また、『白き隣人』そのものも、まさに正論だけでは終わっていません。
なんといっても本の帯にこんな風に書かれていますから。
「恐怖と狂気の二重奏」
さて、あなたには、この二重奏がどのように響くかしら…。
・・・
デビュー作、最新作と全く異なる作品を手掛けられた石岡さん。
次回は、どんな作品を書かれるんだろう。
石岡さん、楽しみにしてます〜!!