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ここは退屈迎えに来て

2012年9月12日

イライラする。

穏やかな笑顔を見れば、のんきだと思い、
キレている人を見れば、阿呆らしいと思う。

とにかく自分と関わる人の言動全てにイライラする。

あからさまにブス〜ッとしたり、
作り笑いをしながら心の中で毒づいたり。

とにかく、つまんない!!
と思ったこと、ありませんか?

今日ご紹介する本は、そんな不機嫌な女子たちの物語。

『ここは退屈迎えに来て(幻冬舎)』
120912yukikore.jpg

です。

なんと、この本を書かれたのは、
富山出身の若手作家、山内マリコさんです。

もしかしたら学生時代お友達だった方もいらっしゃるかもしれません。

舞台は、どこにでもある地方都市。
と言いつつ、モデルは山内さんが生まれ育った富山なんだとか。

ほお富山ね、と思って読んでみると、
物語の舞台が私のよく知る富山の街と似ていることに気付き、
本の世界にぐっと近付くことができました。

例えば、駅前のビル、24時間営業のファミレス、幹線道路の両サイドに立ち並ぶチェーン店。

そして、登場人物たちが本当にいそうな人ばかり。

会話がとても自然で、不機嫌な彼女たちの気持ちがよくわかり、
というかわかり過ぎて、私まで不機嫌になる感じでした。(笑)

考えないようにしようと思って無理矢理頭の奥の方にしまった不機嫌のタネが、
この本によって発芽しちゃった感じです。

あ、でも、読み終えた後までイライラは持続しませんのでご安心を。

それこそブス〜ッとしていた顔から思わず笑みがこぼれちゃうような、
あるいは、不機嫌な時は気付かなかった道端の花を見て
キレイだなと思える余裕が生まれたような読後感でした。

では、具体的にどんなお話なのか簡単に紹介しましょう。

『ここは退屈迎えに来て』は、8つの物語からなる連作小説集です。

唯一、椎名という男性だけが全ての作品にうっすら登場します。
ちなみに、椎名は高校時代はサッカー部に所属し女子からモテモテですが、
今は仕事を真面目にしているパパです。

それぞれの作品の主人公は皆女性(別の人)で、
一話目は、東京から地元に戻ってライターの仕事をしている女性のお話です。

久しぶりに会った高校時代の友人との話が噛み合わなかったり、
昔好きだった男がぱっとしない人になっていたり…。

その後、二話目、三話目と主人公たちの年齢が若くなり、
椎名もそれに伴い、若くなっていきます。

まるで自分の青春時代を振り返るかのように、
時代がさかのぼっていきます。

会話もどんどん若くなり、最後の主人公は女子高生です。

・・・

作り笑いの奥の不機嫌で、
でもキュートな女子たちの本音が綴られているので、
できれば男性には読んで欲しくないなという気持ちもありつつ、
男性の感想も聞いてみたい気も。(笑)

富山に住む女性たちは、ぜひ読んでみてください。

もしかしたら、このたくさんの登場人物たちの中に、
あなたや友達によく似た人がいるかも!?

yukikotajima 11:19 am