太陽は動かない
2012年5月30日
夜寝る前に読み始めると後悔する本というのがあります。
それは、先が気になって途中でやめられない本です。
そんな本にまた出会ってしまいました。
それは、吉田修一さんの
です。
映画化もされた『悪人』の原作者でもあります。
どうでもいい情報ですが、私の母校、法政大学の先輩でもあります。
(もちろん面識はありませんが)
『太陽は動かない』は、そんな吉田さんの4月25日に発売されたばかり最新作です。
早速どんなストーリーなのかご紹介しましょう。
ひと言でいえば、産業スパイたちのお話です。
産業スパイの目的は、いち早く機密情報を手に入れ高値で売り飛ばすこと。
日本人男性二人の産業スパイと、商売敵のイケメン韓国人スパイ、そして謎の美女が、
様々な情報を得るべく、騙し合ったり、時には情報を漏らしたり。
物語は、新油田開発の利権争いの渦中で起きた射殺事件から始まります。
また、油田だけでなく、太陽光発電や宇宙太陽光発電なども登場し、
震災後の日本を意識して書かれたのかと思いきや、
それはまったくの偶然で、震災前から既に執筆を始めていたのだとか。
産業スパイたちは、極秘情報を得るため、
日本のみならず、アジアを中心に様々な国へと移動していきます。
と同時に、私自身も一緒に彼らについていっているような気分になります。
決して快適な旅では無いのだけれど、離れることができません。
なぜなら、描写がとても生々しいのです。
例えば、暑い夏に激しい雨が降っているという描写は、
その部分を読んだだけで、まるで本当に外で激しい雨音が聞こえてきたり、
私まで体がべとべとしてきたりするような錯覚におちいるほどです。
温度や臭いや空気が想像できる、というより、感じられる、と言った方が近いかな。
そのため、本の世界にすいっと入れてしまうのです。
とはいえ、内容は産業スパイのお話ですから、
決して日常的とは言えないのですけどね。(笑)
もうずっとドキドキしっぱなしです!
私は本を読んでいるだけですからいたって無傷なんだけど、
傷だらけの気分で本を読んでいました。
本の世界に入りすぎですね、私。(笑)
ちなみに、著者の吉田さんは、公式サイトでこのようにおっしゃっています。
「別世界を旅するような気分が味わえる、というのも小説を読む醍醐味だと思う。
今回はそれを極めてみたかった」
是非、あなたもスリル満点の旅についていってみてください。
あ、でも旅に行く時は、時間がたっぷりある時におでかけくださいね。
途中でやめられなくなりますから。(笑)
そうそう!
ストーリーとはあまり関係ない絵けれど、
ある謎の美女が、ある我儘な男性に対して言ったひと言が
とても印象に残りました。
「弱い時、そして負けている時にでも生き抜けるのは女だけなのだ」
つまり男は…ということになりますが(笑)、
気になる方は、『太陽は動かない』を読んでみてください。
ちなみに、「何なんだ?この女?」といらっときた男性も、
きっと本を読めば、この謎の美女に会ってみたくなると思いますよ〜。