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すべて真夜中の恋人たち

2012年2月8日

バレンタイン前ということで、
今日のユキコレ(13:45頃オンエアー)は恋愛小説をご紹介します。

『すべて真夜中の恋人たち/川上未映子(講談社)』
subetemayonaka.jpg

本の帯には、なにやら意味深な言葉が。

「誰の人生にも訪れる、それだけがあれば生きていける輝き」

輝きかあ。
私にもあるのかしら?
と思いながら本のページをめくってみれば、なんて美しい文章。

ある人のことを思い出しながら、
真夜中にひとりで街を歩く様子が描かれています。

たった1ページだけど、
なんとなく状況は想像できます。

でも、詳しくはわかりません。
一体彼女に何があったのか…。

この1ページ目は、本を読んだ後、もう一度読んでみてください。

1回目とはまた異なる感覚で心に響くはずです。
私は、1回目は心が熱くなり、2回目は目頭が熱くなりました。

『すべて真夜中の恋人たち』は、
34歳の女性と58歳の男性の交流が描かれています。

というと、大人の恋、という表現になるのかもしれないけれど、
たぶん今あなたが頭に思い浮かべたような大人の恋物語ではありません。

というのも、主人公の34歳の女性にとって、
それが、初めての恋だったから。

彼女は、人づきあいが苦手なフリーの校閲者、
小説などの誤字脱字をを訂正する仕事をしています。

ある日、彼女はカルチャーセンターで58歳の男性と知り合います。

ひょんなことから、高校の物理教師という、その男性と
喫茶店でお茶をしながら、いろいろな話をするようになります。

そして、彼女は彼にだんだんひかれていくのですが…。

小説の世界の話だからねと、
どこか客観的に、その世界感を楽しむことはよくありますが、
この作品は、どちらかというと主観的。

不器用すぎる会話は、
まったくスムーズでなく、
実際、喫茶店で繰り広げられる会話をそのまま盗み聞きし、
文字におこしたような感じ。

ぎこちない間、
オウム返しのやりとり、
2人の息づかい、
コーヒーを飲む音まで聞こえてきそうなほどです。

人を好きになった時は、
楽しい気持ちだけじゃなく、
落ち込んだり、悲しんだり、
わけのわからない行動を取ったりしてしまいませんか?

私、どうしちゃったんだろう、と。

人付き合いが苦手で、
どちらかというと、静かな日々を送っていた彼女が、
恋をし、心をかき乱される様子に、
きっと自分を重ねる方も多いんじゃないかな。

さて、かき乱された後の彼女の心は…?

この続きは本のページをめくってみてね。

yukikotajima 12:29 pm