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『蜩ノ記(ひぐらしのき)』

2012年2月1日

今日のキノコレ(grace内コーナー13:45頃からオンエアー)は、
紀伊国屋書店富山店の白山さんから、
1月17日に、第146回直木賞を受賞した、

葉室 麟(はむろ りん)さんの『蜩ノ記(ひぐらしのき)』
120201higurasinoki.jpg

をご紹介頂きます。

◎白山さんの紹介文はこちら
⇒ http://www.fmtoyama.co.jp/program/program_info_1551.html

***

話題作ということで、私も読みました。

ストーリーに関しては、白山さんがお書きになっていますので、
そちらを読んでいただけたらと思います。

私からは、感想を。

ひと言で言うなら、
まさに、本の帯に書かれている通りでした。

「心ふるわす、感涙の傑作」

です。

久しぶりに本を読んで泣きました。
この本に出会えてよかったと、泣きながら、
読んだ後、本をギュッと抱きしめてしまいました。

時代小説は、独特な言葉遣いや時代背景から
苦手意識をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
私は、こちらの本は、するする心に入っていきました。

読みにくいどころか、美しく情感豊かな表現が多く、
素朴な田舎の様子や人々の表情が、
五感を通して感じられました。

日本語の響きも心地よく、
声に出して読みたくなるような情景描写にうっとり。
それこそ、ときおり声に出して読みながら、
いつもよりスローペースで読みました。

登場人物たちの誠実な生き方、
大切なだれかを守るその生き方に、涙せずにはいられませんでした。

私が特に心打たれた表現はこちら。

縁(えにし)で結ばれるとは、
生きていくうえの支えになる

例えば、美しい景色を目にしたとき、
自らと縁のあるひともこの景色を眺めているのではないか、
と思うだけで心がなごむ。
生きていく支えとは、そのようなもの。

というようなことが書かれていたのですが、
素敵なことだと思いませんか?

ちなみに、このことをおっしゃったのは、女性です。

人が人を思ったり、逆に裏切ったりするのは、
昔も今も変わりません。

いい人は昔も今もいるし、
悪い人も変わらずいる。

どうしようも無い状況の中、
どのような選択をし、行動するか。

この本に登場する人々は皆、運命を受け入れ、
どっしり構えています。

この本を読み、
私自身は、どれだけじたばたしながら日々を生きているのか、
と反省せずにはいられませんでした。

なんて色々思いつくまま書きましたが、
私が言いたいのは、つまりはこの一言。

本当にいい本ですので、ぜひ、読んで!

yukikotajima 12:01 pm