59.60 消失グラデーションと頭がよくなる思考術
2011年10月26日
今日のユキコレ(13:45〜オンエアー)では、
今、紀伊國屋書店富山店で人気の本を2冊ご紹介します。
1冊目は、小説です。
■『消失グラデーション/長澤樹(ながさわ・いつき)(角川書店)』
第31回横溝正史ミステリ大賞で大賞を受賞した作品です。
「横溝正史没後30年目に現れた傑作」
と言われるなど、選考委員たちからの評価も高いようです。
では、早速どんな内容なのかご紹介しましょう。
舞台となるのは、ある高校のバスケ部です。
そのバスケ部の少女が、ある日、校舎の屋上から転落します。
ところが、転落したあとはあるものの、少女の姿はありません。
しかもこの高校は、過去に不審者に侵入されたことがあり、
監視カメラがあちこちに設置されています。
そんな監視された空間で、なぜ少女は消えてしまったのでしょうか?
となると、警察のお話か?と思ってしまいそうですが、
高校生のお話です。
ある2人の高校生も自分たちのやり方で事件の真相に迫っていきます。
そして・・・
これ以上は何も言えないっ!
いや、正確には言いたくありません。
選考委員の中にも、
この作品は、何も知らずに読んだ方が楽しめる、
というか、そもそも何も知らずに読んだ方がいいということ自体、知らずにいてもらいたい、
とおっしゃっている方がいるのですが、まさにその通りです。
それでは紹介にならないのですが(笑)。
でも、ネタばれにならない程度に、私の感想も少し。
高校が舞台で、読みやすい表現で書かれているので、
なんとなく、この作品なら、きっとすぐに答えはわかるな、
とやや軽い気持ちで読み始めたのですが、
真相がわかった時、私がどれだけ伏線をスルーしてきたかがわかり、
ちょっと前の自分に、流すな、そこに気付けよ!
と、思わずダメ出しをしてしまったほどでした。
そして、再び、最初から気になる箇所をピックアップしながら読み始め、
そういうことだったのか…とひとり敗北感をかみしめていました。(笑)
また、そういったミステリ要素の面白さだけでなく、
青春小説としても、深く迫っています。
とくに私は学生時代にバスケ部に所属していただけに、
懐かしい体育館の匂いや温度、音までが聞こえてきて、
ひとり、郷愁にひたっていました。
特別に(笑)、作品の内容が垣間見えるヒントをひとつ。
本の帯に書かれたキャッチコピー、
「最先端で最高の青春本格ミステリ、ここに現る」
の中の「最先端」です。
これ以上は、もう言えないっ!
・・・
もう1冊は、高校に例えるなら、学校の先生の話を聞いているような感じの本。
■『頭がよくなる思考術/白取春彦(しらとり・はるひこ)(ディスカヴァ−・トゥエンティワン)』
『超訳ニーチェの言葉』がベストセラーになった白取さんの作品です。
ちなみにこちらの作品は、2005年に出ていますので、
すでにお読みの方も多いかもしれませんね。
この本は、白取さん自身の考えを披露したものではなく、
古今東西の多くの古典、啓蒙書、哲学書から示唆された
知恵がベースになっているそうです。
また、白取さんは、
「この本を読むと、自分の考え方が以前よりもクリアになる」とおっしゃっています。
こういったタイプの本は、
いいことを言っているように思えて、
曖昧な表現でぼかされていることも多いのですが、
この本は、言いきっています。
ですので、本を読んだ後に、すぐに実践ができます。
だから、白取さんのおっしゃるとおり、「クリア」になるのでしょうね。
さらりと読めます。
でも、深く考えながら読むこともできます。
この本は、一度読むだけではなく、
その時の自分が知りたい言葉を選び、
繰り返し読んでいくのが、いいかもしれません。
いくつか私が印象に残った言葉をあげてみます。
・「他人の思惑を気にするな」
⇒他人の思惑は、自分が想像している他人の思惑であり、他人の思惑ではない。
・「心に触れるものに価値を置け」
⇒心や精神に触れてくるものが本当の価値となりうる。
一番大切なのは「自分で考える」こと。
では、どう考えたらいいのか?
その「考える秘訣」が書かれています。
最近、片づけ本が流行っていますが、
この本は、頭の中を整理する本という点では、
片づけ本のひとつなのかもしれません。