53 『揺れる大地に立って』
2011年9月28日
3月11日の東日本大震災から半年が経ちました。
この半年の間に、震災関連の書物もたくさん出ました。
私も、本や雑誌を何冊か読みましたが、
最近読んで心に響いたのは、こちら。
曽野綾子(その・あやこ)さんの
『揺れる大地に立って—東日本大震災の個人的記録(扶桑社)』です。
9月10日に出たばかりで、
紀伊國屋書店富山店でもかなりよく売れているのだとか。
曽野さんといいますと、
最近は、『老いの才覚』で話題になりましたね。
graceでも、今年の2月にご紹介しました。
ブログはコチラ ⇒ http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=1812
今回の『揺れる大地に立って』も、曽野さん節炸裂の本でした。
本のタイトルにあるように、
曽野さん自身が、東日本大震災について何を思ったかが書かれています。
曽野さんは、先日80歳になったばかり。
もちろん、戦争も体験しています。
戦争体験者として、今回の震災と戦争を比較しながら、
今の日本人にカツをいれています。
『老いの才覚』でもおっしゃっていましたが、
現代の人たちは、誰かが何かしてくれることを期待しすぎている、
また、何もしない人こそ、文句を言いがちである、と。
曽野さんの怒りが文章から伝わってきます。
私も読みながら、思わず姿勢を正してしまうほどでした。
曽野さんは、戦争体験に加え、アフリカでの支援活動も例にあげ、
今の日本人の「甘さと弱さ」を指摘しています。
そして、災害時に必要なのは、「臨機応変」という才能だとおっしゃっています。
マニュアル慣れしてしまっている今の日本人は、
いざという時、何もできない、ということを、繰り返し述べています。
本を読みながら、これは、私に充てられた手紙なのか?
という気さえしてくるほど思い当たる節があり、反省しきりでした。
繰り返し述べているといえば、
「絶対は無い」ということ。
本の帯にもありますが「絶対安全」などは無い!と言いきっています。
曽野さんは、この「絶対」という言葉と、
もうひとつ、ある言葉を、
以後決して使ってはならない言葉として挙げています。
さて、その言葉とは、何でしょう?
震災に限らず、私たち日本人が、
今後、どう生きて行くべきか?ということを考えた時、
この本を読んでいる人とそうでない人との間には、
大きな差が生じてしまうような気がしました。
今、どきっとした方は、是非、曽野さんの熱い言葉に触れてみてください。