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24『純平、考え直せ』

2011年5月4日

GWに富山から群馬に帰省する電車の車内で一気に読んだ本が、
奥田英朗さんの『純平、考え直せ』 です。

今年1月に発売され、すぐに購入したものの、
買ったことに満足し、読むのを忘れていた本です。(笑)
奥田先生大好きなのに…。

この本は、はくたかに乗っている間にほぼ読み終えました。
というのも、この本に描かれている出来事は、ほぼ3日間と短いのです。

組長から鉄砲玉を命じられた21歳の純平は、
決行までの3日間、自由な時間とお金が与えられます。

とりあえず肉を食べよう、いや、寿司か?
などと、ぶらぶらしている時に出会った女性に、
自分がこれから行うことをベラベラ喋ってしまい…。

この純平君が、憎めないキャラなのです。

先輩を慕い、仕事はまじめで、熱い!
しかも、純粋ときたもんだ。

もっと他のところで、その働きぶりをいかせばいいのに!
とおせっかいながら思った私のような年上女性は、多いはず。

で、純平君、どうするのよー!
と思いながら、ページをめくっていくうちに、
あっという間に読み終えてしまったような感じでした。

電車の中で読みながら、最後の1行が終わって、
思わず、声を出しそうになってしまった終わり方でした。
どんな終わり方かは、もちろん言いませんが、
でも、きっと読んだ方は、皆、何かしら声を発してしまうような気がします。(笑)

奥田さんの作品は、面白いのだけれど、
あ〜面白かった、と軽く笑って終わりでないところが、私は好きです。
人間の本質が見えるのです。

今回も、さくっと読めて、
下手したら何も残らないと感じてしまいそうになるけれど、
さらっと流れていかないのが、奥田さんのすごいところ。

でも、この本は、読むひとの数だけ、まったく異なる感想になりそうな気がします。
ですので、私の感想だけを鵜呑みにしない方がいいかも。

あなたは、どう感じましたか?

yukikotajima 8:21 pm

23『始祖鳥記』

GW〜。
今年は、どんなGWを過ごしていますか?

私は、前半は、実家の群馬に帰って、食べてばかりの日々を過ごし、
富山に帰ってきてからも、友人とご飯を食べ、と、
相変わらず、食べてばかりのGWを過ごしています。

食べる!と言えば、
今週のgraceは、午後3時から、
「サンレポとやま」をお休みして、かわりに、
「3時のおやつ♪」をお送りしています。

是非、おいしい「おやつ」をおしえてくださいな。

オススメのおやつをまってま〜す。
いえいえ、おやつ情報をお待ちしています!(笑)

また、「3時のおやつ」を教えて下さった方の中から、気まぐれで(笑)、
FMとやま特製ボールペンをプレゼントしますので、
プレゼントを希望される方は、〒・住所・お名前・電話番号をお忘れなく♪

■メッセージは、grace宛に送ってね。
http://www.fmtoyama.co.jp/program/program_22.html

・・・・・・・
さて、私のGWは、食べるだけでは、もちろんなく、
本も読んでいます。

何冊か読みましたが、今日は、その中から、
「ユキコレ(13:45〜オンエアー)」で紹介する1冊をご紹介しましょう。

『始祖鳥記(しそちょうき)/飯嶋和一(いいじま・かずいち)』
yukikore110504.jpg

私の読書アドバイザー(勝手に命名)である、紀伊國屋書店富山店の朝加さんに、
GWにじっくり読むのにいい本はないか尋ねたところ、
教えていただいたのが、「始祖鳥記」でした。

本の表紙を見れば、
「全日本人必読!」「感度に、鮮度!」などと、
心そそられる言葉が書かれています。

2002年に小学館文庫から出ていますし、
様々なメディアで取り上げられ、話題になったようですので、
既にお読みになっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

ひと言でいえば、江戸時代後期に、ただ大空を飛ぶために生きた、
「鳥人」幸吉(こうきち)の生きざまを描いた本です。

大きな凧を揚げるのではなく、
自らが凧を持って空を飛ぶ。

そんな夢をかなえるべく、夜な夜な高いところから飛び降りる幸吉。

ただ、空を飛びたい。
そんな純粋な思いで空を飛ぼうとしてだけなのに、
いつからか妙なうわさが広がります。

「イツマデ、イツマデ」と叫びながら、
腐敗しきった悪政がいつまで続くのか空から叫ぶものがいる、と。

江戸の後期。
災厄続きで、人々の暮らしは辛い時代。
そんな時代に勇気のある人もいるもんだ、と、
本人の知らぬうちに、幸吉は英雄視されるようになります。

その後、色々あって、
幸吉は、鳥人の過去を隠し、
場所を変え、仕事を変え、生きていきます。

しかし、日本中どこにいっても、鳥人のうわさを耳にします。
それは、悪い噂ではなく、どちらかというと、好意的なもの。

皆、鳥人の生きざまに影響を受け、
腐りかけそうになった自分自身を鼓舞し、
再度、自分の進むべき道を信じて向かっていきます。

自分の意図とは関係なく、
たくさんの人の心を動かしていく幸吉。

でも、そういうことってありますよね。

たまたま耳にした言葉や行動から心を動かされること。
例えば、近くにいた子供が発した何気ない一言からハッときづかされたり。
でも、子供は、まったくそんなことを意図しているはずもありません。

この本は、幸吉が軸になっていますが、
1人称はころころ変わっていき、たくさんの人間が登場します。
そして、皆、何かしら、幸吉から影響を受けます。

500ページにも及ぶ大作で、読み応えもあり、
軽くさらっと、という気分では読めませんが、
だからこそ、時間の取れる連休などに、
じっくり読むにはふさわしい本ではないかなと思います。

読み終えた後、自分の顔を鏡で見てみると、
凛々しい表情になっていることに気付くかもしれません。

辛い時代をたくましく生きた男たちの物語です。
彼らの生きざまにぜひ触れてみてください。

500ページ分もあるため、紹介も長くなってしまったようです。
すみませぬ。

yukikotajima 11:21 am