65『笑い!がわかればあなたは変わる』
2009年11月23日
落語家の三遊亭竜楽(さんゆうてい・りゅうらく)さんの
『笑い!がわかればあなたは変わる—落語家に学ぶ「世渡り上手」な仕事術』
を読みました。
竜楽さんは、私と同じ群馬県出身で、
師匠は、先日、お亡くなりになった三遊亭円楽さんです。
実は、この秋、富山で竜楽さんの落語がありまして、
私も聞いてきました。
竜楽さんは「牡丹灯篭(ぼたんどうろう)」をおやりになったのですが、
これが、面白おかしく、でも、怖い。
登場人物が多いのに全て演じ分ける、その引き込む語り口に、すっかりはまってしまい、
本も読んでみたのでした。
この本を円楽師匠も絶賛され、
帯に「笑いっていうのはねぇ、心なんだよ」という言葉を寄せています。
本を読む、というより、竜楽さんのおはなしを聞いている感じでした。
落語の歴史、竜楽さんが落語家になろうと思ったきっかけ、
過去の失敗、先輩の教えなどが書かれています。
落語家として、ここまで書いちゃってもいいものなのかしら、と思えるようなことまで。
例えば、竜楽さんは、見た目の雰囲気から面白さが感じられないことに悩んでいました。
お笑いでも、見た目がインパクトな人の方が印象に残りやすいですものね。
でも、この悩みは、たぶん、多くの日本人にも通じると思うのです。
私もその1人です。
では、竜楽さんは、どうしたのか?
この本には、人知れず悩む竜楽さんの苦悩が綴られていて、
私は、他人事とは思えず、胸が熱くなりました。
日常生活で「笑い」をどう生かすか、ということももちろん書かれていますが、
どちらかというと、人づきあいをする上で大切なことが書かれていました。
それも、ああしなさい、こうしなさい、というものではなく、
ある会話をいくつかのパターンで紹介して、
こういう会話よりも、こういう会話の方が、スムーズに会話がすすみますよ、
というアドバイスが書かれていました。
私は、職業柄、「言葉」に関する書物は、どうしても気になってしまうのですが、
この本にもアナウンサーとして大切なことがたくさん書かれていて、大変勉強になりました。
そうそう、この本を是非、読んでいただきたい方がいます!
それは、結婚式やパーティでスピーチをされる皆さんです。
私もパーティの司会をすることはありますが、
司会者が一番気にするのは「時間」です。
お料理を出すタイミングや、会場の利用時間のタイムリミットなどがあるため、
まず私が確認するのは「時間」なのです。
そして、パーティが延びてしまう原因の主なものが、「スピーチ」です。
5分以内で、と伝えておいても、長い方になると、延々と喋り続けてしまうのです。
そうなると、司会者としては、もう大変。
どうしよう・・・と冷や汗が出てきます。
是非、スピーチ予定の方は、事前にこの本をお読みになって下さい。
それから、この本には、人づきあいについてのアドバイスが書かれていますが、
本に書かれたことをそのままやればいい、というわけではありません。
円楽師匠もおっしゃっている通り「笑いは心」です。
「心」を大切にすることをお忘れになりませんように…。