32『おと・な・り』
2009年7月8日
今日は、現在公開中の映画『おと・な・り』をご紹介します。
タイトルの『おと・な・り』は「お隣」と「音鳴り」のダブルミーニング。
同じアパートのお隣さんどうしの30歳の男女の物語です。
岡田准一さん演じる、
撮りたい写真と今撮っている写真とのギャップに悩むカメラマンの聡と、
麻生久美子演じる、
お花屋さんでバイトをしながらフラワーデザイナーを目指す七緒。
2人は顔を合わせたことはなく、
お互いの生活音、例えば、コーヒー豆を挽く音、フランス語の練習の声などを聞いて、
お互いの存在をひそかに心地よく思っています。
実際、この映画は、様々な「音」が効果的に使われています。
もちろん映画なので映像はあるのだけど、
「音」がクローズアップされている点はラジオ的だなと思いました。
隣に住む人がどんな人かわからないけれど、
その人の生活音を聞きながら相手のことを想像している様子はラジオ的。
ラジオは、想像できるメディアだと思うので。
想像といえば、私はこの映画のエンドロールが大好きです。
それこそとてもラジオ的!
この映画は絶対にエンドロールが終わるまで席を立ってはだめですよ〜!
(というかすべての映画は最後まで見てほしいのですが)
出演者は皆、30歳の人々。
誰も今のままでいいとは思わず、
この先の人生について悩んだり、前に進むために頑張ったりしています。
私自身も30歳。
彼らが他人事とは思えず、
まるで友人のお話を聞いているような、
また、自分自身を見ているような気持ちになりました。
将来のこと、家族のこと、友達のこと、恋のこと…。
あまりにも等身大でリアルなので、
私の未来はどうなるのかしらんと、ちょっと不安になったり、前向きになったり、
自分自身と重ねてユラユラ揺れながらも、
やっぱり最後は見てよかったなと思えました。
そうそう、もう一人の岡田君、岡田義徳さん演じるコンビニの店員さんは、
出演シーンはわずかですが、見ている人の気持ちを一番大きく動かす人物です。
私も動いちゃいました。
全体的にふわんとしていて優しくて甘酸っぱいお話でしたので、
彼の言動は、ある意味いいアクセントになっています。
彼については、映画で確かめてね〜。