私たちの金曜日
2024年7月26日
久しぶりに私オススメの本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、株式会社KADOKAWAから発売されている短編集「私たちの金曜日」です!
編者は、書評家で作家の三宅 香帆さんです!
この本は、同時期に発売された短編集「僕たちの月曜日」と並ぶ、
仕事をテーマにしたアンソロジーです。
どちらも仕事をテーマにしているんですが、
僕たちの月曜日は、男性が主人公の短編集、
私たちの金曜日は、女性が主人公の短編集となっています。
私が担当している番組「STEP!』は金曜日に行われていますし、
私も、女性なので、ぴったりな一冊と思い手に取りました~!
「私たちの金曜日」は、7人の女性作家さんの作品が集められています。
有川ひろさん、恩田陸さん、桐野 夏生さん、田辺 聖子さん、津村 記久子さん、山本 文緒さん、綿矢 りささんの短編小説です。
周りから社畜と思われている女性会社員のお話や、
上京した売れない地下アイドル、
30歳の誕生日を迎えた小説家などなど。
短編小説は、昭和から平成に書かれたもので、
作品によっては、書かれた時代背景を表している作品もあります。
特に、田辺聖子さんの「美女山盛」という作品。
1979年に刊行された「日毎の美女」に収録されたものです。
さえない女性社員のまるちゃん目線で描かれたお話で、
会社にいる美人と美人をとりまく男性たちの様子がコミカルに描かれています。
今の時代だと、実際にこんな会社があったらいろいろ問題になりそうです(笑)
ただ、当時1970年代から、今の時代にも少なからずある問題をピックアップしているのがすごいなぁと思いました!
そして、個人的に一番好きだったお話は、津村記久子さんの「おかきの袋のしごと」です。
何度も転職を繰り返していた女性が、おかきメーカーの契約社員となります!
この会社がつくるおかきの個包装には、
豆知識や一緒におかきを食べてる人と話したくなる話題がかいてあるんです。
主人公は、この豆知識やちょっとした話題を考えて執筆する仕事をすることになります。
小説は架空の会社ですけれど、
現実世界にも、そういう仕事がありそうだよなぁと感じました。
主人公はどんどん仕事に熱中していくのですが、
主人公の心や周りの人たちがどう変化していくのでしょうか。
お仕事や同僚たちとの会話もリアルで、身近な話題なので、
主人公の気持ちや職場の閉塞感に共感する方もおおいと思います。
私は、毎日豆知識は考えませんが、
毎週、番組をより楽しくするための話題をずっと考えているので、
結構共感するところが多かったです!
そして、この短編集の最後を締めくくるのは、
有川ひろさんの「ファイターパイロットの君」というお話です。
かっこよく自衛隊のパイロットとして働く女性のお話しなんですが、
甘くて、主人公と旦那さんの関係にキュンときましたね!
今は、共働き家庭がかなり多いですが、
なかなか女性がバリバリと働くことに理解を得られなかったり、風当たりが強かったりしますよね。
私は結婚していないので、共働きで働いている女性の方の気持ちはわからないことも多いんですが、
素直にこの主人公の旦那さんのような方が現実にもいたらな・・・と思いました!
最後は、心が温まるようなあったかいストーリーでほっこりしました。
それぞれ時代も職業も違いますが、7作品とも面白く読ませていただきました!
そして、ぜひ、解説まで読んでいただきたいです!
編者の三宅香帆さんがどのような理由で7つの小説をえらんだのか、
なぜタイトルに金曜日とはいっているのかがわかりますよ~!
ぜひ、みなさんも読んでみてくださいね。
今日は、株式会社KADOKAWAから発売されている「私たちの金曜日」をご紹介しました!