卒業のための犯罪プラン
2024年3月29日
もう明後日で3月も終わりますね。
「年度末でかなり忙しかったよ~」という方も多かったと思います。
お仕事もお疲れ様です。
そして、3月といえば、各学校で卒業式もありましたよね。
改めて、卒業おめでとうございます。
卒業生のみなさんは、どんな学生生活だったでしょうか。
今回は、卒業にむけて奔走する大学生の物語をご紹介しましょう。
宝島社文庫から出版されている浅瀬明さんの「卒業のための犯罪プラン」という小説です。
2024年第22回「『このミステリーがすごい!』大賞」の文庫グランプリ受賞した作品です。
年末恒例のミステリー・推理小説ブックガイド『このミステリーがすごい!』から派生した、
ミステリー&エンターテインメント小説の公募型新人賞となっています。
浅瀬さんも、現在書店員をしながら、執筆活動を行っているそうですよ~!
「卒業のための犯罪プラン」
まず、このタイトルを本屋さんでみたとき、
卒業するために犯罪ってどういうことだろうと、いったい何が起こるんだろうと興味を持ちました。
このお話は、ビジネスセンスを備えた人材の育成を目指す木津庭商科大学が舞台となっています。
通称:庭大は、創設から10年の比較的新しい大学です。
他の大学と大きく違うことは、「事業ポイント」という独自制度があること。
この事業ポイントは、庭大限定の通貨で、
学生は時に労働で事業ポイントを稼ぎ、
また学生同士で創作物やサービスの売買を行ってポイントを得ています。
事業ポイントは、食堂で使ったり、学生寮の支払いにつかったり、
そして、単位も購入できちゃいます。
庭大で評価されるのは、事業ポイントの量ということです。
そのため、学生たちはいろいろな事業を起こして、事業ポイントを稼ぐことに力を入れています!
本当に、不思議な大学ですよね!
そして、この物語の主人公降町歩は、庭大の2年生です。
2年生なんですが、家庭の事情で、
なんとかして残り半年で卒業しなければならなくなります。
庭大では、単位があれば飛び級で卒業可能!
ただ、主人公は、生活費を稼ぐために大学外でのバイトばかりしていたので、
事業ポイントをほとんどもっていませんでした。
卒業するための単位を買うために必要な事業ポイントは、なんと300万ポイント。
300万ポイントってかなり多くて、
オープンキャンパスの学内バイトが時給1500ポイント。
1ポイント=1円と考えると、半年で300万円も貯めなきゃ卒業できないんですよね。
どうにかポイントを稼ぐために主人公は、
不正にポイントを稼ぐ学生を摘発する「監査ゼミ」に所属することになります。
ただ、不正を暴きにいった先で、対象者に取引を持ち掛けられ・・・というお話です。
降町歩は、無事半年で庭大を卒業できるのでしょうか。
庭大は、全国各地のエリートが入学しているというのが特徴なんですが、
だからこそ、みんな様々な発想でポイントを稼ぐし、
大量のポイントを稼ぎ学生から注目を集めている生徒もいたり・・・
事件を解決していくようなミステリーというよりも、
賢い学生たちによる事業ポイントをめぐる 騙し合い=コンゲームというジャンルに近い小説です!
テンポよく読めますし、ラストは「あっそういうこと!?」と展開に驚いてしまいました。
どうにかポイントを稼ぎ卒業しようと奮闘する主人公、
そして主人公とかかわる人たちも個性豊かですし、それぞれいったい何を目的に行動しているのか。
どんな展開になっているかは、ぜひ本を読んで確かめてみてくださいね!
今回は、宝島社文庫から出ている浅瀬明さんの小説『卒業のための犯罪プラン』をご紹介しました!