今夜は、鍋。-温かな食卓を囲む7つの物語-
2024年1月26日
寒い冬は鍋が食べたくなりますよね。
私も先週末は、チゲ鍋を楽しみました!
白菜をたっぷりいれて、キノコに豚肉、そしてメインのお豆腐。
ぐつぐつ煮込んで食べる鍋は、寒い冬も体が温まります。
今回は、鍋にまつわる短編小説をご紹介しましょう!
ご紹介するのは、新潮文庫からでている短編小説「今夜は、鍋。-温かな食卓を囲む7つの物語-」です。
全部で7篇で、
角田光代さん、青木裕子さん、清水朔さん、友井羊さん、額賀澪さん、織守きょうやさん、6名の作家さんの作品が収録されています。
今回の短編集では、
家族や恋人、友人と鍋を囲むひと時がそれぞれ描かれています。
ほっこりなお話が続くのかと思いきや、
どのお話も読みごたえがあって、それぞれ全く異なるお話で面白かったですね!
例えば、最初に収録されている角田光代さんの短編小説「合作、冬の餃子鍋」は、
食に対してプライドが高く、食の好みが違う人とは絶対に付き合わないという持論をもつ女性のお話です。
かなり短いお話なので、
これ以上はネタバレになってしまうので話せないんですけれど・・・(笑)
少し妥協できるものから、絶対に譲れない!というものまで、人それぞれだと思いますが、
多くの人は、料理や掃除、趣味などで「こだわり」を持っていると思います。
このお話の主人公の場合は、食へのこだわりです。
自分の譲れないこだわりとどう付き合っていくのか、
短い小説の中でも、女性の心境などがぎゅっと詰まっていて、面白かったです!
また、角田光代さんのお話は2作収録されているんですが、
もう一つも母と娘のお話で、心がホッと温かくなりました。
あと、個人的に好きなお話は、清水朔さんの「初鍋ジンクス」です。
タイトルだけみると、
小さい子供が初めて鍋を食べる話とか、
結婚して、初めて食べる鍋の話とかかなぁと思っていたんですが、
「鍋」が主人公なんです(笑)
まさか、調理器具の鍋が主人公とは思ってもいませんでした(笑)
話は、百貨店にある売り場からスタートします。
主人公の鍋「花三島」は、同じ売り場にいる最古参の鍋「菊花」に、
「初鍋ジンクス」について教えてやるよ!と話しかけられます。
初鍋ジンクスというのは、最初に作られる料理で、鍋の寿命がかわるというものです。
先輩鍋の菊花いわく、最初の鍋の食材が少ないほど長持ちしない、具沢山だと長持ちするとのこと。
また、百年たった道具は付喪神になるらしいです。
6人用の大きな10号鍋の「花三島」は、
どんな人に購入され、そしてどんな初鍋を迎えるのでしょうか。
鍋目線のお話なんですが、
鍋からみた人間関係であったり、時には同じ家で過ごす別の道具と情報交換をしたり。
鍋の花三島は、どんな思いで初鍋をまつのか、
どんな夢をいだくのか。
ぜひ、実際に読んで確かめてみてくださいね!
他にも、昔ルームシェアをしていたメンバーが紡ぐ物語「4人いるから火鍋にしましょう」や、学校が舞台の「両想い鍋パーティー事件」などなど。
ほっこりなお話から、学園もの、ホラーまで。
複数の作家さんが参加しているからこそ、
1冊で様々なテイストのお話が楽しめます!
短編集ですし、短いお話だと10ページちょっとのものもあるので、
普段本を読まない方にもお勧めしたい1冊です!
この本を読むと、きっと親しい人と鍋を囲みたくなりますよ!
今日は、新潮文庫から販売されている短編小説「今夜は、鍋。-温かな食卓を囲む7つの物語-」をご紹介しました!